研究課題/領域番号 |
26501002
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
長尾 慶和 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70291953)
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研究分担者 |
福森 理加 宇都宮大学, 農学部, 助教 (60721694)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 再生医学・医療 / 幹細胞 / 大動物 / 分化誘導 / ヒトiPS細胞 / ヒツジ胎子 |
研究実績の概要 |
検討課題1:移植細胞の分化状態と移植されるヒツジ胎子の胎齢の相互作用に関する解析:申請者らはこれまでに、サルES細胞を用いたヒツジ胎子内分化誘導実験系により、移植する細胞の分化状態と細胞数、移植されるヒツジ胎子の日齢と移植部位が幹細胞の造血系あるいはテラトーマへの分化誘導に強く関与することを示した。そこで今回は、ヒトiPS細胞を用いて、これまでと同様の分化誘導実験を行う。
小課題1-1:移植細胞の分化段階と移植された後の生着・分化との関連の検討:これまでの我々の検討により、移植するES細胞が完全に未分化な細胞だと、ヒツジ胎子に全く生着しないか、生着してもテラトーマを形成する可能性の高く、中胚葉系へ初期分化誘導した細胞集団を移植すると、高い確率で骨髄造血系キメラが得られている。この現象を詳細に検討するため、本小課題では、ヒトiPS細胞をヒツジ胎子へ移植するまでの初期分化培養法について、培養液の組成と培養時間に着目して検討する。現在は、セルソーターを用いて解析する細胞表面マーカーや、培養液中へ分泌されているであろうオートクラインファクターについて、解析する項目を絞り込んでいる。
小課題1-2:ヒツジ胎子の胎齢と生着・分化との関連の検討:ヒツジが自己免疫を獲得するのは胎齢50日前後と言われている。従って、移植細胞に対する完全な免疫寛容を得るためには、50日齢以前の移植が望ましい。一方で、完全な免疫寛容を得るということは、テラトーマ形成のリスクも高まる。今回は日齢50日前後のヒツジ胎子肝へヒトiPS細胞由来中胚葉系初期分化細胞を移植し、移植した細胞の生着と造血系への分化状態との関連について解析する予定である。これまでに4頭の造血系キメラヒツジを得て、現在、経時的に解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討課題1:移植細胞の分化状態と移植されるヒツジ胎子の胎齢の相互作用に関する解析、のうち、小課題1-1:移植細胞の分化状態と移植されるヒツジ胎子の胎齢と移植部位の検討、については、解析する項目の絞り込みに時間が掛かっており、進捗がやや遅れている。小課題1-2:ヒツジ胎子の胎齢と生着・分化との関連の検討、については、既にキメラヒツジ4頭を得て解析を進めており、計画以上の進展である。
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今後の研究の推進方策 |
検討課題1:移植細胞の分化状態と移植されるヒツジ胎子の胎齢の相互作用に関する解析、のうち、小課題1-1:移植細胞の分化状態と移植されるヒツジ胎子の胎齢と移植部位の検討、については、これまでの関連論文を精査し、できるだけ早く解析項目を絞り込み、解析に入りたい。小課題1-2:ヒツジ胎子の胎齢と生着・分化との関連の検討、については、得られたキメラヒツジ4頭の経時的解析を継続すると同時に、新たら移植実験も計画している。 また、検討課題2:ヒツジ胎子肝における造血幹細胞ニッチ因子の解析、のうち、小課題2-1:ヒツジ胎子肝におけるニッチ因子の解析、については、既に平成26年度からサンプルの採取に取りくんでおり、胎子肝で発現しているニッチ因子の分子生物学的ならびに免疫組織化学的解析に着手したい。
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