H29年度は、豪州韓国人福祉会の追加調査を行うとともに、オランダにおける高齢者福祉支援の現状を確認するために、アムステルダムから1時間ほどの距離(東部)にあるウィドウヘーン(Weideheem)ケア施設を訪問し、担当職員を対象にインタビュー調査を行った。当ケアセンターは、住民の生活をより快適にすることを目標として掲げており、運営の財源は州政府の給付金や寄付金、利用者からの負担金が主となる。 サービス提供は主にHarderwijkのWeideheem地域を対象にしており、在宅ケアを希望する者に対しては、ケアマネージャーによる支援の他、家事・食事サービスも受けられる。さらに、ケアチームによるサポートが24時間受けられるような取り組みが行われている。高齢者が入居する際には高齢者の私物(家で使用していた家財道具など)を持ち込むことが可能になっているなど、高齢者に配慮した環境づくりに心かけている。 集中治療と看護が必要な痴呆の高齢者のための4つの住宅グループの運営や住宅団地のなかでのケアセンター運営は、高齢者が住み慣れた地域でケアを受けられるような取り組みが特徴であった。さらに、介護度によってケア内容が異なっており、当事者の意見を取り入れながら支援内容を変えていくオーダーメイド型支援を行っている。また、地域の住民が自由に利用できるようなカフェが設けられており、高齢者と地域住民の触れ合う場づくりをとおして高齢者の社会参加を促していた。 次に、豪州韓国人福祉会は既存の高齢者支援プログラム(食事サービスおよび、学習支援)の充実化を図るため、州政府ファンドの獲得に向けた組織整備とともに、韓国人移住高齢者を対象にした健康関連予防教育プログラムを実施している。移住高齢者の一人暮らしが増加しているなかで、当事者視点(移住者)を取り入れた予防教育プログラムの成果については注目すべく、今後も追跡調査を予定している。
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