研究課題/領域番号 |
26502003
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
来田 宣幸 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (50452371)
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研究分担者 |
後藤 彰彦 大阪産業大学, デザイン工学部, 教授 (50257888)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者施設 / 入浴介助 / 視線・視野 / モーションキャプチャ |
研究実績の概要 |
老人福祉施設等での入浴介助は、介助者の身体的・精神的負担が高いという問題がある。精神的負担については、浴室は滑りやすく転倒のリスクが高く集中力の持続が要求されることが1つの要因とされる。そこで本研究では、「モーションセンサ」に着目し、入浴介助中の視線・視野情報を推定し、入浴介助中の視線行動パターンを明らかにし、安全・安心な入浴介助の実現を最終目的とした。 本年度は、光学式運動計測装置と視線計測装置によるデータを基準としてモーションセンサデータの信頼性と妥当性を明らかにするため、健常な一般被験者を対象として実験室にて実施した。リアルタイム光学式モーションキャプチャシステムと4台の赤外線カメラを用いて被験者の頭部に装着した4点の反射マーカの三次元座標データを収集した。モーションセンサとしては、3軸加速度センサ、3軸角速度センサ、3軸地磁気センサ、GPSセンサから構成される小型センサを被験者の頭部に固定して1000Hzでデータを収集した。被験者には、実験室内で視ターゲットとなる反射マーカーを上手く追視できているか確認する為のデータとした。モーションセンサデータを積分し、身体の位置と向きを算出し、被験者の視線・視野情報を推定した。 得られたモーションセンサによる推定方向とモーションキャプチャーのターゲット座標の値の推定精度を検証した結果、最大で16°程度の誤差はあったが、90%以上の時間では10°以内に推定できており非常に高い推定精度が確認できた。さらに、ターゲットの動きが秒速1。5m程度では15°の誤差が発生したが、秒速1mを下回る速度では10°以内であった。入浴介助等のゆっくりとした動作であれば10°以内の測定精度であると確認できた。 以上により、推定誤差が発生しやすい動作や推定誤差が発生しやすい身体の向き、推定誤差が少ないモーションセンサ取り付け部位等を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験室における視線・視野推定精度の検証の実験が非常にスムーズに実施することができたため、研究成果の発表をおこなうことができた。また、介護者と非介護者役を設定したシミュレーション実験についても、H26年度後半に実施することができ、H27年前半に研究成果を公表できる見通しとなっており、当初の計画以上に伸展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、実際の老人介護施設における視線・視野推定法の検証実験を進めていく。その際、映像を使用せずGPSだけで推定する場合に、室内ではGPS信号を用いた推定精度がやや低く出る可能性があるため、プライバシーに配慮した形でも映像を利用するなど、可能な限り推定精度を高める工夫をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたデータ処理の進捗が年度をまたいだため消耗品等にかかる費用として残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
発生した次年度使用額を用いて取得したモーションキャプチャデータのラベル化作業と数値処理を年度早々に実施する。
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