研究課題/領域番号 |
26502005
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
中村 貴志 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (70292505)
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研究分担者 |
納戸 美佐子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 准教授 (40421325)
鈴木 明宏 一関工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60500428)
上城 憲司 西九州大学, リハビリテーション学部, 准教授 (90454941)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 軽度認知機能障害 / 認知症 / 歩行 / 地域活動 / 生活支援 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、主に1)地域活動(地域での集会への参加、買い物、散歩など)における歩行の測定、2)歩行の総合的な評価システムの構築、以上の2つの観点から研究を実施した。 1)について:地域活動中の対象者の歩行を、前年度と同様にビデオ録画と歩行計測装置による測定を同時に行い、実際の歩行状態、装置による分析の結果及び対象者からのインタビューをもとに装置の改良を継続した。また、これまで測定した屋内歩行における分析結果も踏まえて、加速度と角速度の両方を同時に取り込む装置に改良し、あわせてパソコン上の歩行データ解析プログラムの改良を行った。なお、GPSを用いた歩行ルートの測定については、前年度よりデータの精度の向上がはかれたものの、測定時の歩行環境の影響が大きく、さらに改良が必要である。 2)について:これまでの測定データをもとに多変量解析を用いて、軽度認知機能障害や認知症疑い、転倒リスクに関して判別力の高い評価指標の絞り込みを行った。その結果、障害物を回避しながらの歩行やDual-Task(認知課題と歩行の二重課題)における歩行の変動性と、歩行中の眼球運動からみた障害物への注視時間の延長およびIADLの低下は、認知機能の低下と転倒のリスクを判別する有意な評価指標であった。また、認知機能低下と転倒歴のある対象者のデータを個別に分析すると、屋外歩行における視空間の過度の刺激や瞬時の判断を要するルートの複雑さへの対応に困難な点が観察された。現在、地域の高齢者支援事業に歩行や認知機能の測定プログラムを導入しながら、サンプル数の拡大をはかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歩行の測定装置の改良により、データの精度が向上した。また、これまで測定したデータの解析結果から、評価指標の絞り込みができた。一方、昨年と同様に、屋外歩行については予想以上に悪天候、道路工事など歩行環境の変化、対象者の健康状態等の影響を受け、サンプル数が不足している。また、今年度は歩行の測定装置の改良に伴い、これまでの測定データの分析に用いてきた歩行解析プログラムの見直しと改良を行う必要があり、この点についても時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、地域で展開されている認知症予防活動や転倒予防教室へ、本研究の歩行や認知機能の測定プログラムを導入しながら、サンプル数の拡大をはかる。特に、屋外歩行における対象者の歩行状態、視空間認知機能及び歩行環境との関連性について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定時の天候や対象者の健康状態等の影響で、データ収集に遅れがあったため、平成29年2月10日付で科学研究費助成事業補助の事業期間の延長を申請した。その結果、平成29年3月21日付で承認されたため、予算を次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度、不十分であったデータ収集や研究成果公表のために、旅費と英文校閲費にあてる予定である。
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