研究課題/領域番号 |
26502009
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
室橋 郁生 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (90182146)
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研究分担者 |
荒川 恭子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80100618)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域パス対象者 / ケアパス対象者 / バイタルサイン / スコア化 / 最適化スコア / アウトカムの標準化 |
研究実績の概要 |
老健入所者における老健軽症型のスコア化(Ver. 2)では、入所後、新たに疾患を発症したA群(n = 7)と非発症のB群(n = 13)間で有意差を認めたのは発熱のみであった。そこで、その最適化スコア(Ver. 3)(第7回JAIPE、H26年、新潟)について報告した。Ver. 3ではSpO2スコアでも有意差を認め、全てのスコアでA、B群間の差が顕著となった。 平成26年9月~平成27年3月に本学で開催する『学長指定研究(A研究 研究代表者 荒川 恭子)「1日6g未満の減塩達成」に向けた地域健康促進手法の確立とその効果の検証』に参加する延べ200名の地域健常者を対象に同時に参加時1回のみ動脈血酸素飽和度(SpO2)、脈拍数、血圧、呼吸数、体温の5項目のバイタルサインを測定した。測定結果を一覧表に記入しその場でその意義も含めて説明し、結果をお渡しした。地域健常者(地域パス対象者)の5項目のバイタルサインの年齢別基準値(被測定者の95%が所属。測定値の平均±2SDの範囲。)の設定を行う。ケアパス対象者の測定バイタルサインと今回設定する地域健常者の年齢別基準値との比較が可能となった。 平成26年度3月から春日部秀和綜合病院の在宅医療班、栄養サポートチーム(NST)、 看護部と協力してアウトカムの標準化を目指す活動を開始した。約100名を対象にケアパスを実践し、最適なスコア化を選択・検証を始めた。主に動脈血酸素飽和度 (SpO2)、脈拍数、血圧、呼吸数、体温の5項目のバイタルサインを測定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・ 広報のための印刷物作成: 「地域パス」、「ケアパス」について両者は一体となって機能するものであり、まとめて関係者に配布した。IPE/IPWキーワード集として、学会 (日本保健医療福祉連携教育学会, JAIPE) 委員長としてIPE/IPW glossary JAIPE 2014として作成し学会で配布した。 ・ 地域での実践: 本学での継年健康講座参加者200名でのバイタルサイン測定を終了し、本年度学会報告予定である。昨年度、春日部秀和綜合病院において役150名を目標にバイタルサインの継続的測定を開始した。いずれも本学、連携病院の倫理員会の承認を得た。埼玉県吉川市の団地で年4回の健康講座を開催してきている。地域の見守りケア、包括ケアの実践上の問題点を明確にして議論を進めている。埼玉県北部では大学の専門職連携推進会議の委員としてあらゆる専門職者が集まり症例検討会を毎年3回程度開催している。 ・ 総会、講師招聘: 昨年度は行うことが出来なかった。定期的に佐久総合病院 藤井 博之医長、新潟県魚沼市の上村 伯人院長(上村医院)、総合診療内科 中元 秀友 教授と検討会を行っている。 ・ 著作など: IPE/IPW glossary JAIPE 2014、地域、医療機関で実践可能な運動・食事法合体型演習法の考案(日本臨床検査学教育)(印刷中)
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今後の研究の推進方策 |
「ケアパス」のがんや敗血症ショックを視野に入れたスコア化Ver. 1、比較的安定期にある老健入所者を対象としたスコア化Ver. 2、Ver. 3の最適化のスコア化を完成した。春日部秀和綜合病院で症例数を追加してVer.1~3の妥当性をさらに確認することが今後の重要な目的である。一方、「地域パス」では健康な場合あるいは通院状態の方々の急変が主であり救急医療の領域に属することになる(Ver. 4)。この場合も、ショックの有無、我々の分類した5つの病態のいずれに属するかを最終的に判定することも可能である。そこで、「地域パス」では「発作」あるいは「Stroke」の前触れを何らかの形で前もって感知できる「バイタルサインのスコア化」(Ver. 5)が理想である。これらの完成を目指すことが現在の目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、平成26年は主に学内講座参加者を対象とした測定、解析であり、講座開催の費用はほとんどなかった。平成26年年度末には春日部秀和綜合病院の在宅医療斑、栄養サポートチーム(NST)、看護部と協力してアウトカムの標準化を目指す作業を開始した。このため更に交通費、機材の購入、会合費用が昨年度分増加する。 定期的に佐久総合病院 藤井 博之医長、新潟県魚沼市の上村 伯人院長(上村医院)、総合診療内科 中元 秀友 教授と検討会を行っている。これは学会、委員会、大学訪問時などに合わせた会合であったので出費はほとんどなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費: 皮下脂肪厚測定器、パルスオキシメーター、血圧計、聴診器、USBの追加購入、統計解析ソフト、iPad(電話会議に使用)。計 45万円の予定。 旅費: 佐久総合病院、埼玉医科大学、新潟県魚沼市、春日部市秀和綜合病院、埼玉県北部の専門職連携推進会議メンバーとの会合旅費、宿泊費が必要。また、昨年度招聘できなかった名古屋大学大学院医学研究科 教授 山内豊明 先生、救急医療の専門家招請予定。計 67万円の予定。人件費・謝金: 計 15万円の予定。 その他: 書籍、印刷・製本代。計 18万円。総計約1,450,000円。
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