研究課題/領域番号 |
26502016
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
内田 育恵 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (80313998)
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研究分担者 |
植田 広海 愛知医科大学, 医学部, 教授 (20213358)
櫻井 孝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, もの忘れセンター, センター長 (50335444)
鳥羽 研二 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, その他部局, その他 (60155546) [辞退]
杉浦 彩子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医師 (90420380)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 聴覚障害 / 高齢者 / 補聴器 / 身体障害 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
計画A(聴覚障害による身体障害者手帳を所持し、補聴器交付を受けた聴覚障害者を対象にした、補聴効果、聞こえのハンディキャップ、補聴器の使用状況に関する調査):愛知医大におけ2011年10月から2018年3月までに研究参加同意が得られた対象者で、郵送法と外来法で調査を行い、両法の重複や人工内耳手術施行例、臨床情報との照合不能例を除いた33名を対象に解析を行った。補聴器の使用状況、有効性、満足度、生活の質に関する評価は全般的に高かったが、補聴器があっても活動や参加制限があるかといった設問では、十分な満足度が得られていなかった。これらの結果は「当科における聴覚による身体障害者手帳所持者の追跡調査」という演題名で、第173回東海地方部会連合会(2018年6月10日開催)にて報告した。 計画B(国立長寿医療研究センターの、もの忘れセンター外来新患患者より「聴力障害あり」の者を対象として補聴器と認知の関連を検討する研究):本研究結果を解析し、第63回日本聴覚医学会総会・学術講演会シンポジウム1(2018年10月18日神戸)にてシンポジストとして講演を行った。また[サブ解析]の一部に関しては第28回日本耳科学会総会・学術講演会(2018年10月6日大阪)にて口演した。補聴器導入6ヶ月間の前後で、Mini-Mental State Examination(MMSE)に有意な差は認められなかったが、認知機能や弁別能が不良であっても、補聴器継続と認知機能維持という結果を得ることは可能であることが示された。 解析結果については「もの忘れセンター受診高齢難聴者への補聴器6ヶ月貸出研究―認知機能の推移と語音弁別能に注目した解析―」として論文掲載された(Audiology Japan 62, 142~149, 2019)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画A、計画Bともに対象が高齢者であることから、死亡、全身状態の悪化、転倒や肺炎などの新たな健康問題の出現、施設入所や家族の付き添い困難などの環境変化等により、エントリー候補者やエントリー後の追跡対象者が、脱落、追跡困難となる場合が想定以上に多く、当初の目標対象数は希望的であったといえる。 計画Bの研究実施施設である国立長寿医療研究センターでは、常勤者のたびたびの交代があったが、引継ぎを重ね、関係者の多大な努力により、頓挫することなくエントリー数を積み上げた。
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今後の研究の推進方策 |
愛知医科大学の計画Aについては、第173回東海地方部会連合会での学会報告内容を、論文にまとめる方向で検討中である。国立長寿医療センターでは計画Bに専念して継続し、計60名の症例蓄積を行った。補助事業期間について1年間の延長承認を受けたが、施設内倫理審査について研究期間延長は認められなかったため、延長期間は集積データの解析および論文作成に注力する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
貸出補聴器の紛失や故障が少なく、追加購入の必要がなかったため。 次の1年間には解析結果の論文化、掲載費用などに使用する予定。
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