戦間期チェコスロヴァキアのドイツ系住民は、数の上ではチェコ系住民に次ぎ、スロヴァキア系住民より多く、マイノリティとは言い難い存在であったが、劣位の存在という点でのマイノリティであった。その処遇が、結果的にナチ・ドイツによる国家解体を招くことになった。ドイツ系大土地所有者は、ドイツ系という出自と、社会的不平等を体現するものとして、二重にチェコ人民衆の敵とみなされたが、超民族的利益団体である大土地所有者連盟の活動を通じて、チェコ系大土地所有者と協力しつつ、土地改革において自らの利害を守ろうとした。このような共通の利害の発見による民族間協力の実例は、現代の民族間協力に応用可能であろう。
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