漢語神学は、漢語によるキリスト教の解釈と宣教にもとづいた現代中国の政治・文化・社会にわたる改革運動の総称である。それはキリスト教という近代中国における最大の他者を消去するナショナリズム運動として機能したが、その過程において、漢語による神学文献の言語的複数性や神学共同体の対抗的な他者性を、歴史のなかに顕在化させることになった。こうして、毛沢東主義や三民主義といった革命史観の影響下に、伝統の自主的な再生という物語をつむいできた中国近代文化史が、グローバルな普遍性への強い志向を有していることが改めて浮き彫りになったのである。
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