今日、我々の関心は、過去の文化的歴史的な知識から、情報技術に基づく新たな未来社会へとシフトしている。我々の社会はこの新たな技術に、あらゆるレベルにおいて依存するようになった。そしてこれまで共通の知識、いわゆる「教養」、としての役割を果たしてきた過去の文化に基づき連綿と受け継がれてきた体系的な知識は、常時検索可能で、断片的な情報に取って代わられつつある。 こうした状況の中で、我々はどのように共通「知」を見いだし、自己のアイデンティティを確立保持しうるのか、を考察するために、明治、大正、昭和期の知のパラダイムの転換期における具体的な例を検討しつつ、デジタル社会の知のあり方を検討した。
|