研究課題/領域番号 |
26504002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤井 さやか 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70422194)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 団地再生 / 公共住宅 / 都市計画 / 社会的包摂 / 住環境 / トロント / カナダ / 北米 |
研究実績の概要 |
本研究は、戦後にスラムを再開発して建設された北米の公的住宅団地の再スラム化に対応するため、近年進んでいる再々開発事業を対象として、事業に至る社会的背景や経緯の把握と、代表事例のケーススタディを通じて、事業実態と完成後の評価、官民連携による事業実施の利点と課題の分析を行うことを目的としている。またこれらの知見をもとに北米の再々開発手法の日本への適用可能性の検討と、日本と北米の比較を通じた日本の団地再生手法の評価を行おうとするものである。 平成27年度は既往研究のレビューや行政資料の分析を行い、公共団地の再々開発においては、団地の物理的な改変と居住者の混合化(ソーシャル・ミックス)に焦点をあてた再生事業が行われているが、事業成果の評価においては、ジェントリフィケーションや従前居住者の社会的包摂が重要な課題であることが分かった。 そこで、トロント市リージェントパーク団地を対象として、従前居住者の社会的包摂に関する取り組みに関して、事業主体であるトロント住宅公社、トロント市役所、PPP参加企業、住民支援組織、コミュニケーションコンサルタント等へのインタビュー調査を行い、団地の再々開発に伴うハード・ソフト両面からの社会的包摂のための取り組みを分析し、海外及び日本の学会で研究成果を発表した。 また他都市での取り組みについて、文献調査を継続し、次年度の事例調査の準備を進めている。さらに海外の研究者を日本に招致し、日本の団地再生に関する意見交換を行う準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの調査から、公共団地の再々開発事業の成果を評価する上で、団地の物理的な改変、居住者の混合化(ソーシャル・ミックス)、従前居住者の社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)の3点が重要となることが明らかになった。 特に社会的包摂の実現に向けたハード・ソフト両面の取り組みが重要であることに着目し、先行事例であるトロント市リージェントパークの団地再生事業の社会的包摂のプログラムの実態と課題について、海外及び国内の学会で研究の成果発表を行った。 また来年度に向けて、海外の研究者を日本に招く準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、これまでの調査で得た資料や情報を整理し、北米の公的住宅団地の再々開発の実態と社会的包摂に向けた取り組みの現状について全体像の整理を行う。 また、秋にこれまでの調査で関係を構築した海外の研究者を日本に招き、日本の公的住宅団地再生についての意見交換を行う。 以上より、本研究の成果のまとめを行う。
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