研究課題/領域番号 |
26504008
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
柴田 祐 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (90444562)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 消滅集落 / 土地所有 / 集落環境 / 維持管理 |
研究実績の概要 |
農山村地域においては、今後、無人化し消滅する集落が多数発生すると予想され、その跡地が管理されず荒廃が進むことにより、国土の保全などの農山村地域が有する公益的機能の維持や、地域の歴史や文化の継承が課題となっている。本研究は、九州脊梁山地(熊本県、大分県、宮崎県)に立地する集落を対象として、消滅集落及び消滅が危惧される集落における土地所有の実態と特徴を明らかにし、土地所有者以外の様々な主体による消滅集落における集落環境の維持管理の今後の可能性を明らかにすることを目的としている。 平成26年度は、熊本県を事例として、旧版地図(1/25,000)や農林業センサスの結果を活用し、1960 年以降の人口、農家戸数の推移から、消滅した可能性のある集落を把握した。その上で、県下の全45市町村を対象としてアンケート調査を実施し、1960年以降に発生した消滅集落を把握した。 アンケート調査の結果、40市町村より回答があり(回収率88.9%)、そのうち11市町村で1960年以降に発生した消滅集落が存在し、合わせて24の消滅集落を把握することができた。集落が消滅した理由は、24の消滅集落のうち、9集落が住民の離散による自然消滅、8集落が公共事業に伴う集団移転、3集落が集落移転事業であった。消滅時期は1980年代が最も多く9集落で、次いで、1960年代が7集落、また、2000年代に入ってから消滅した集落も存在していることを把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熊本県下における消滅集落及び消滅が危惧される集落の特定作業に時間を要し、平成26年度に実施予定であった大分県、宮崎県における特定作業に取りかかれなかった。 一方で、市町村を対象としたアンケート調査を実施した結果、集落消滅の経緯・時期、集落移転事業等の実施の有無などについて効率的に情報収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、遅れている大分県、宮崎県において消滅集落及び消滅が危惧される集落の特定作業を進めるが、熊本県で実施した作業手順により進めることにより、遅れを取り戻すこととする。 あわせて、平成27年度の計画である、土地建物の所有者の特定について、予定通り登記簿謄本を取得することで行う。また、市町村の協力が得られた場合には、固定資産税の納税義務者による所有者の特定をあわせて行う。 また、集落環境の維持管理の実態把握について、予定通り現地調査を実施することにより行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本県下における消滅集落及び消滅が危惧される集落の特定作業に時間を要し、平成26年度に実施予定であった大分県、宮崎県における特定作業に取りかかれず、それに伴う現地調査が実施することができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実施遅れている大分県、宮崎県において消滅集落及び消滅が危惧される集落の特定作業、及び、特定した消滅集落に対する現地調査を実施する。 なお、遅れている調査を平成27年度の実施計画と平行して実施するため、平成27年度の実施計画には変更はない。
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