研究課題/領域番号 |
26504011
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
瀬下 博之 専修大学, 商学部, 教授 (20265937)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 法と経済学 / 契約法の経済分析 / 情報の非対称性 / リスク負担 |
研究実績の概要 |
日本および海外の不動産にかかわる法制度や取引の状況などについてそれらの問題点等を整理するとともに、関連資料や関連データを収集した。また、日本の民法の改正の方向性について、法務省の民法(債権関係)の審議会報告書や資料を収集・検討するとともに法学的な議論をふまえて、経済学的な視点からの議論の整理に努めた。 特に、平成25年2月26日に公表された「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」の内容を中心に検討・分析してきた。さらに、平成27年2月10日に「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」が公表されたため、この要綱案と中間試案からの変更点について整理と理解を進めている。 当初の中間試案でも、それ以前の審議会の議論からみると、当初予想されていた改正内容と比較してかなり制限的な改正をする印象があったが、今回の要綱案では大幅に内容が後退し、従来予想されていたような内容はほとんど盛り込まれず、重要な法改正は事実上盛り込まれない印象がある。法律家内の若干の意見相違の調整をのぞけば、事実上民法の現代語訳程度にとどまる可能性が高く、経済学的な観点からの分析を要するような改正内容を選び出すために、丁寧な内容整理と分析が必要となっている。 これと並んで、近年の情報の経済学や行動経済学についての経済理論の進展について、その内容理解を進めている。この分野の近年の学術的発展は急速で目覚ましいものがあり、本研究の達成に必要不可欠な分析ツールを提供してくれる可能性が高い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年(2015年)に「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」が公表されたが、以前の中間試案から見ると大幅な内容の後退が見られ、その変更内容について、疑問点や問題点など、あらためて整理して理解する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
民法(債権関係)の改正に関する要綱案の内容を丁寧に整理し、不動産取引に大きな影響を与える可能性がある内容を調べ出す作業を急ぐ必要がある。 その上で、理論的なモデル構築を進め、諸外国の法制度や補完的な制度などについて検討しながら、その改正内容の評価を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
法務省による民法の改正の要綱案が公表された時期が2015年2月であり、すでに公表されていた中間試案と比較して多くの修正点があり、当初予定していた資料収集や聞き取り調査の方向性を再検討する必要があると判断し、その検討のための時間が必要になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
聞き取り調査、資料収集、学会出張などのための旅費 聞き取り調査対象者、資料提供者、専門知識提供者への謝金などへの支出を予定
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