本研究では売主責任と買い主責任のいずれが効率的な法的な規定となるのかを経済理論的に検討した。このとき、売り手が自身で利用できる不動産などを取引する中古市場では、通常の製品と違い、情報の非対称性があっても、売り主責任より買い主手責任の方が効率的であることが示された。特に売り主責任で瑕疵担保責任を履行させるときに法的費用が発生する場合、市場そのものが機能しなくなる可能性があり、買い手責任の下では、いわゆる逆選択と呼ばれる問題が発生しうるとしても、売り主責任よりも望ましい可能性がある。さらに民間の品質保証制度の利用可能性についても検討し、その場合でも買い主責任の方が効率的になりうることを示した。
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