研究課題/領域番号 |
26504014
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
矢田 尚子 日本大学, 法学部, 准教授 (40383195)
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研究分担者 |
太田 秀也 麗澤大学, 経済学部, 特任教授 (00725004)
太矢 一彦 東洋大学, 法学部, 教授 (90368431)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | サービス付き高齢者向け住宅 / 高齢者住まい / スウェーデン / デンマーク / 契約 / 契約書 |
研究実績の概要 |
本研究では、スウェーデン・デンマークにおける高齢者の住まいに関する契約内容の実態調査を行い、それを参考としながら、日本のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を中心に、高齢者の住まいとしてふさわしい適正な契約関係の確立を目指すものである。 研究の成果としては、両国の高齢者の住まいの制度及び法的規制を整理し、実際の高齢者の住まいに関する契約書を入手し、その翻訳を行いながら、日本との比較を進めた。 そのことから、特に、スウェーデンにおいては、「施設ケア」から「住宅ケア」の転換、ニーズ判定(日本の介護認定にあたるもの)、ケアプランによる介護等、日本が参考とした制度を基礎に高齢者住まいに関する権利関係が構築されており、日本での高齢者の住まいに関する契約について参考となる点が多かった。 具体的には、契約において、終身にわたり居住が保障されること、またコンタクトパーソンが指名され、きめ細かな介護が保障されていること、46項目もの項目によって作成されるケアプラン、事故や虐待があった場合の通報システム、IVOによる迅速な紛争解決など、日本での高齢者の住まいに関する契約問題を考えるにあたり重要な示唆を得ることができた。 もっともスウェーデンでは、高齢者の住まいは公が運営しているか、公からの委託において民間が運営している。その点、日本のサ高住は完全に民間経営で営利を目的としたものである。また、ニーズ判定や医療・介護に関する制度、居住や裁判等に関する制度など、基礎となる制度において日本とは大きく異なる点がある。そのため、それらのことに配慮したうえで、高齢者の住まいを取り巻く多くの制度を総合的に考慮し、日本の高齢者住まいに関する契約について提言をしていく必要があり、現在、その作業を進めている。
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