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2015 年度 実施状況報告書

ビッグデータを用いた不動産市場における社会的動学の特性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26504015
研究機関早稲田大学

研究代表者

川口 有一郎  早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30245162)

研究分担者 堤 盛人  筑波大学, システム情報工学研究科(系), 教授 (70292886)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード社会的動学 / 集合的記憶 / 不動産市場 / 株式市場 / テキストマイニング / ビッグデータ
研究実績の概要

不動産市場および株式市場における集合的記憶(collective memory)を定量化した。集合的記憶は情緒的に目立ったイベントの集合であるが、単なる歴史ではなく将来についての予想を提供するものである。集合的記憶は資産市場における投資家のグループ行動の一つの重要な特徴であることが指摘されている(例えば、Shiller 2014等)。しかし、筆者らが知る限りにおいて資産市場における集合的記憶を定量化した試みは存在しない。本研究では、不動産市場に関するニュース(テキストデータ)、株価指数および不動産価格指数を用いて不動産市場および株式市場における集合的記憶の定量指数を考案し実際に推定した。
上記の市場の集合的記憶指数を用いて、投資家集団の違いによって集合的記憶がどのように異なるのか?また、それぞれの集合的記憶が時間的にどのように変化するのか?について実証した。そこでは、各市場が集合的記憶を形成するために過去どのくらいの期間に遡るのかを推定した。その結果、不動産市場では30か月、株式市場では18か月という結果を得た。これは、各市場の投資家集団が情緒的に目立ったイベントの同一のニュース源から異なる集合的記憶を形成することを意味している。また、集合的記憶を形成する期間は株式市場に比べて不動産市場が約1.6倍長いことが分かった。
以上の成果は、不動産市場における価格発見機能などのメカニズムを社会的動学の観点から明らかにするための新たな方法を切り拓いたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

(1)ビッグデータを用いた実証分析を通して不動産市場における情報伝播のメカニズム、ポジティブ・ネガティブ情報の変化→価格の変化→投資家行動→ポジティブ・ネガティブ情報の変化→・・・の(グレンジャー)因果およびその正のフィードバック効果を確認した。
(2)アンケート調査により、不動産投資家の予想形成は適応的であること、また投資家を積極派、中間派、および消極派をサブグループに分けてみると、積極派の予想変化が中間派の予想変化に先行する傾向を見出した。
(3)不動産市場および株式市場における集合的記憶を定量化した。また、情緒的に目立ったイベントの同一ニュース源からそれぞれ異なる集合的記憶を形成することを明らかにした。

今後の研究の推進方策

今後の課題は、本年度に開発したソフトウェアと購入したデータベース等をさらに活用して、上記の研究成果をより確実なものとすること、およびこれらの成果の応用について検討を深めることである。

次年度使用額が生じた理由

本研究はソフトウェアの開発とデータの購入について実験的に進めざるをえない部分がある。特に、使用するデータには有効期限があるものがある(日経新聞等のビッグデータ)。そうした実験成果があらかじめ定めた有効期限内に得られるかどうか不確実であるため、まずは6か月間のデータ利用料金を支払った。予算は1年間のデータ利用料金であるため、本年度は残余金が発生することとなった。もし、6か月間では実験が終了しない場合には、さらに6か月間データ利用契約を延長することとした。

次年度使用額の使用計画

使用計画の一部は上記の通りであるが、実験の成果が予定の期間よりも短期で出れば、本研究の成果をさらに頑健なものとするために他のデータを購入・活用することで、より適正な助成金の利用を図る予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Price Discovery in Real Estate Markets:Role of Opinions in an informational Text2015

    • 著者名/発表者名
      川口有一郎
    • 学会等名
      Asian Real Estate Society Sonference 2015
    • 発表場所
      Washington D.C. USA
    • 年月日
      2015-06-09 – 2015-06-09
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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