研究課題
昨年まで実施してきた回旋転頭運動実験系の構築を踏まえて、今年度は回旋転頭運動の数理解析による定量的評価法の確立に着手した。具体的には、シロイヌナズナおよびアサガオの野生型と重力応答突然変異体を用いた。まず、野生型シロイヌナズナの花茎の回旋転頭運動について36時間の解析を行ったところ、画像取得12時間目から24時間目で最も大きな回旋転頭運動が観察された。この12時間の動きを2次元の座標上にプロットし、さらにX軸方向とY軸方向の動きに分離した。両方の軸について、その波形データを高速フーリエ変換したところ、その周波数は個体ごとに若干異なるものの、明瞭な単一のピークが出現することが明らかとなった。一方、2系統のシロイヌナズナ重力応答突然変異体では、両重力屈性突然変異体とも微小な動きを見せたものの、周期的な運動とは認められなかった。これらの微小な動きに周期性が無いことは、高速フーリエ変換によってピークが一つも現れなかったことからも支持された。同様の解析をアサガオの野生型と重力応答突然変異体についても同様の解析を行った。その結果、野生型の波形データを高速フーリエ変換で解析したところ、単一のピークが現れた一方、変異体では出現しなかった。よって、シロイヌナズナの花茎、アサガオの胚軸における運動は、少なくとも一つの要因によって制御される周期性をもった回旋転頭運動であり、それには重力応答が必須であることが示された。一方、突然変異体でみられた微小な運動は、周期性が無く、回旋転頭運動とは言えないことが強く示唆された。このことにより、重力屈性突然変異体における茎頂の微小な運動と回旋転頭運動とを定量的に区別することができることが示された。また、微小重力環境での回旋転頭運動を解析する宇宙実験Plant Rotationに参画した。
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