実験室内進化により、環境中の微少資源成分に対し、最大利用効率を示す細胞を創出した。複数系列の実験室内進化の結果、祖先型大腸菌は培地中の栄養源が高濃度でないと、細胞増殖が観測されないのに対して、進化型大腸菌は nMオーダー以下の低濃度栄養源条件下でも増えるようになった。ゲノム変異解析の結果、膜輸送に関連する制御因子やタンパク質合成に関わる遺伝子に変異が見られた。これらの変異による栄養源の取り込み効率と使用効率が変化したと示唆された。以上により、増殖能を落として、外部資源の効率的利用を実現する戦略が自然界の極限環境微生物の生態を示唆する発見である。
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