研究課題
国際宇宙ステーションの本格運用により宇宙での有人活動が活発化し、微小重力による骨量低下や筋委縮が問題となっている。微小重力による骨量低下を予防・改善する方策は宇宙飛行士の健康管理のみならず、高齢化により顕在化している骨粗鬆症の予防法に活用できる点でも意義深い。本研究課題では、キサントフィル類を用い、微小重力による骨量低下を阻止できるキサントフィルを決定し、骨粗鬆症への予防効果とそのメカニズム解明を進め、宇宙飛行士サプリメントの開発を目指してきた。平成26年度は、キサントフィル類が骨吸収を抑制し、骨形成を促進して骨量増加効果を示す成果を報告した。平成27年度は、キサントフィルの骨への作用メカニズムの解析を行ない、骨芽細胞における破骨細胞誘導因子(RANKL)の遺伝子発現を抑制し、破骨細胞のアポトーシスを誘導すること、骨形成関連因子Runx2の遺伝子発現を促進し、石灰化を亢進することを見出した。さらに、天然キサントフィルは骨粗鬆症モデル動物である卵巣摘出マウスを用いた実験において、大腿骨の骨密度低下を抑制する作用を有することを見出した。最終年度の平成28年度は、これらの総括研究として、宇宙環境の微小重力による骨量低下のモデル動物として知られている尾部懸垂モデルマウスにキサントフィルを餌に混合して経口投与し、骨量低下への改善作用を解析した。その結果、微小重力による大腿骨遠位部海綿骨量の減少が回復することをマイクロCT解析により明らかとした。これら新知見は、キサントフィルが骨吸収を抑制して骨量維持作用を発揮することを明確に示した。食品として安全・安心で日常摂取が可能なキサントフィルは宇宙微小重力による骨量減少や骨粗鬆症などの骨吸収性疾患における予防・改善効果を示し、今後の宇宙飛行士サプリメントへの開発への検討が期待される。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 6件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件)
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