研究課題
平成28年度では引き続き宇宙ステーション内に設置されているインキュベータで胚培養可能な容器の開発を行った。具体的には培養装置に使用する材質、接着剤などの毒性を調べた。培養装置を作製するためには素材を組み合わせるための接着剤が不可欠であるが、我々のこれまでの経験から、胚は接着剤に対する感受性が非常に高く、わずかでも胚への毒性があると発生を停止してしまうことが分かっている。そこで千代田化工から分与していただいた素材、ならびに接着剤の受精胚培地中への浸出による影響を見るために実験を行った。両面テープおよびシリコンを3時間および24時間浸したCZB培地を用い受精胚を培養した。発生が進んだ胚(桑実期、胚盤胞期胚)は借り腹に移植し、産子率を検討した。コントロールと比較して、受精胚発生の影響はなかったが、全体的に産子数がコントロールと比べ全体的に低かった。しかし、各素材を浸水させ毒性を取り除いたうえでもう一度同じ実験を行ったところコントロールとあまり変わらない産子率を得られたことから、千代田化工作成のデバイスにはそれら素材を使用する予定となった。さらに、ほかの会社で作成依頼(高砂)したデバイも受精胚培養容器として検討した。千代田化工と同様に、デバイスに使用される予定の素材並びに接着剤を用いて,受精胚発生への影響を検討した。高砂基材のシリコンには胚盤胞までの発生に大きなダメージはなかったものの、産子率は低かった。容器のジョイント部に使用されるシリコンチューブ、および金属、プラスチック部品と共に胚を培養したところ、ほとんどの受精胚の発生が停止した。毒性を取り除くため金属部品を浸水洗浄してもう一度実験を行ったが同じ結果となり、高砂容器のジョイント部分の金属部が宇宙用培養デバイス内の培養液に絶対に接しない構造にする必要があることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)
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