研究課題
加齢や各種病態による骨格筋萎縮(サルコペニア)は、肝疾患の予後因子となるとされ、肝筋相関の重要性が注目されている。サルコペニアでは様々なアミノ酸の低下が言われており、アミノ酸の供給不足によって肝臓や免疫能の与える影響を検討することは、肝筋相関を解明の鍵となる。また、肝組織における蛋白質分解や生合成、エネルギー産生に関わるオートファジーにも着目し、サルコペニア、肝筋相関の解明を試みた。筋肉におけるPGC1α過剰発現マウス(サルコペニアモデルマウス)を用い、Wild typeマウスにそれぞれ70%肝切除を施行、比較検討を行う。PGC1α過剰発現マウスとは、筋肉特異的PGC1α過剰発現により筋肉のATP産生の異常あり、加齢とともに骨格筋の萎縮を起こすことから、サルコペニアのモデルとされている。PGC1α/E過剰発現マウスの凍結精子を搬入後に、交配によって得られた個体化を進め、サルコペニアモデルマウス(PGC1α過剰発現マウス)を繁殖させた。現在38匹中、サルコペニアモデルは3匹。25週時点で肝切除を施行し、検討を行う。臨床症例を用いた検討も行った。2014年4月~2016年12月筋力と筋肉面積が測定可能であった生体肝移植レシピエント102名を用いた。臨床因子の比較により、サルコペニア患者では、肝移植前の肝機能が有意に低下していること、術中出血量が多く、術後経過として、グラフト肝機能が悪く、術後在院日数が長期であり、敗血症発症率が有意に高ことが明らかとなった。多変量解析すると、サルコペニアは肝移植後6ヶ月死亡の独立危険因子であった。一方、これまで報告されていた筋肉面積のみでは、生存率に差を認めなかった。今後、筋力低下のメカニズム解明に向けた基礎的研究を継続していく
すべて 2016
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Hepatology Research
巻: 46 ページ: 1247-55
10.1111/hepr.12674.
巻: 46 ページ: 292-7
10.1111/hepr.12537.