研究実績の概要 |
オーキシン応答性遺伝子発現をAffimetrix社の最新のマイクロアレイチップArabidopsis gene 1.1 STを用いて処理時間ごとに網羅的に調べなおした。このデータを含めたシロイヌナズナの遺伝子発現解析データベースAtCASTを発表した(Kakei, Y. & Shimada, Y. AtCAST3.0 Update: A Web-Based Tool for Analysis of Transcriptome Data by Searching Similarities in Gene Expression Profiles. Plant Cell Physiol 56, e7–e7 (2015).)。AtCASTは任意のDNAマイクロアレイ実験に類似した実験結果を既存データの中から検索する機能を持つデータ解析ツールである。遺伝子発現変化の傾向を特徴付ける遺伝子群を自動的に抽出、マイクロアレイ実験の発現プロファイル間の類似性を計算し、有方向性ネットワークで表示する。AtCASTを用いることで変異体の原因遺伝子によって引き起こされる遺伝子発現変動が何の影響と類似し、どのような特徴があるかを解析できる。このAtCASTを用いてオーキシン処理と反対の遺伝子発現応答を引き起こす既知の実験条件を抽出することができた。オーキシン関連変異体nph4-1, slr-1, iaa17-6, arf19-1, arf2-6, sav3-2はオーキシン作用と負の相関を示し同一のクラスターに含まれる。このクラスターに含まれる実験で共通して発現が変動した遺伝子はオーキシン濃度低下で引き起こされる分子機構に関わっていると推測された。
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