本研究では、植物が重力環境の変化に応答する過程におけるエチレンシグナリングの関与について検討した。黄化イネ芽生えを遠心過重力環境下で生育させると、1g対照に比べてエチレン生成量が増加することが示された。シュートにおける遺伝子発現を調べたところ、過重力条件下で発現レベルが変化する遺伝子が230個程度見いだされ、発現が増加するものにはエチレン合成に関わる複数の酵素遺伝子が含まれていた。一方、過重力下での生理形質の変化として、シュートでは伸長が抑制され肥大が促進されることで成長方向の変化が誘導されたが、この過程にはエチレンシグナリングは関与していないことが示された。
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