研究課題/領域番号 |
26506022
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
榊原 学 東海大学, 工学部, 客員教授 (10135379)
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研究分担者 |
小見山 智義 東海大学, 医学部, 准教授 (60439685)
吉岡 亨 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (70046027)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ROS / TRPチャネル / 分子シャペロン |
研究実績の概要 |
本年度は”TRPチャネルの開放”から”ミトコンドリア内Ca2+の増加”に関して実験し、検討した。 紫外線、特にUVB照射により、細胞はROSによって細胞膜のTRPチャネルが開き、細胞外からCa2+が流入する。これが細胞内のミトコンドリア(Mt)のTCAサイクルを刺激することによりATPを産生しながら、さらに多量のROSが細胞内に産生される。こうしたサイクルが細胞の老化を促進すると同時に寿命を短くすると予測される。TRPチャネルはROSにより一旦開放されると、その状態がかなり長期に継続すると予測されることから、細胞内のCa2+の時間的変化を計測した。本研究では、ケラチノサイト細胞、平滑筋細胞、Hela 細胞を対象として、UV照射後の細胞内Ca2+動員量を計測した。一旦開いたTRPチャネルは還元状態にしないと閉じなく、細胞内外の還元状態は任意に制御できないため、外来の刺激薬剤により、内因性のCa2+放出を促し、その動員量を検討した。 ケラチノサイト細胞にUV照射後にミトコンドリアDNA(Dloop、ND2)の突然変異を確認した。UV照射は7段階の照射強度で行った。また同じUV照射条件下で1日培養したものと、細胞を替えてヒト大動脈平滑筋細胞株で5日間UV照射したものでも実験したが、いずれの細胞においてもDloop、ND2には突然変は観察されなかった。 ついでCa2+フリーの培地で培養した、Hela 細胞株、平滑筋細胞株にUVを5日間照射した。その後ArrayScan Ⅱを使い、アドレナリン(AD)、イソプロテレノール(IP)、フォルスコリン(FK)の刺激薬剤を投与し細胞内Ca2+濃度を観察した。その結果、平滑筋では、UVを照射した細胞にIPを投与した場合の細胞内Ca2+濃度が高くなっていた。これらのことを踏まえ、今後皮膚線維芽細胞を追加して、細胞内へのCa2+の取り込みに関しても検討を加え、ROSにより一旦開放されるTRPチャネルの関わるカルシウム・イオン動員機構を解析していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の本研究における作業仮説を以下に簡単に記載し、これまでの状況を報告する。 環境電磁波の照射⇒細胞外ROS産生⇒TRPチャネルの開放⇒細胞外Ca2+の流入⇒ミトコンドリア内Ca2+量の増加⇒ATP、細胞内ROSの増加⇒細胞内機能たんぱく質の損傷と修復用シャペロンの増加上述した6項目の作業仮説に従って検討を進め、現在、”TRPチャネルの開放”から”ミトコンドリア内Ca2+の増加”までの検討を2015年度行った。若干遅れ気味であるが、残り2項目についての検討を残している。すなわち”ATP及び細胞内のROSの増加”と”細胞内機能たんぱく質の損傷と修復用シャペロンの増加”を2016年度の検討項目と予定している。
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今後の研究の推進方策 |
前述した2項目について検討し、全体的なまとめを行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した実験用消耗品が、当初計画したより安価に購入で。きたため3217円の残が生じた
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に残金も消耗品、旅費として使用する予定である。
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