研究課題/領域番号 |
26506024
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
山崎 将生 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (10192395)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 動脈圧受容器 / 大動脈神経 / 体位変換 / Head-up Tilt / 大動脈神経 / 体血圧 / ラット |
研究実績の概要 |
6か月齢以上のSDラットにおける90°Head-up Tilt(HDT、仰臥位より立位)実験を、さらに積み重ね、循環機能の発達と、特に加齢過程にある個体の体血圧(BP)、心拍数ほか各日齢(週齢)の基礎値を得、HUTによる姿勢変換時のそれ循環因子の変化が発達・加齢に伴ってどのような経過を辿るか、その概要は明らかにになった。今後は各因子と個体の組織臓器の発達と老化、HUT時の減少変化それら相互関係の詳細を追求し、より深く掘り下げるべく新知見を得ることが出きた(動脈血管の肉眼的加齢変化がげっ歯類でもある等新たな知見は平成29年度科研費へ継続的研究計画として新改めて応募準備へと繋がる。 本年度の成果は主に老齢ラットのHUT時、特に30分のHUTでは血圧が徐々に低下して血圧維持能が成熟群に比して弱いことを明らかにした。その際、頭側への供血量はHUT前値に対する%変化量で見ると成熟と比べて基礎BPが低い分、その変化量は大きい。このことは灌流圧が低いため頭蓋外供血を減らしAutoregulationを基本に脳循持が働いている可能性が高い:脳乏血反応などで供血を維持するなど。HUTの持続時間を5,15,30,60分と種々行ってHUT後の水平位の回復過程の循環動態の観察で、HUT調節機構、体液シフトの状況などを追求を始めた:平成28年度前期に集中行、10月国際学会報告。その予備結果ではHUT時間の違いが水平位でのBPレベルと安定になるまでの変化が、血管のコンプライアンス(動静脈)等の影響、体位変換による体液シフトの程度によるHUT時の管内液から管外液への水の移動も関わる複雑な変化を示し、性成熟頃には循環調節系が不安定であることも示唆された(個体差大)。老齢群ではHUTが長いとHUT中の循環動態は良いとはいえず起立耐性能は低下する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトを対象とした実験は、を変更して、動物実験の結果を踏まえて立案(どのような起立テスト、息こらえテスト)するまでとし、倫理審査受けてその経過をみて予備実験を行うこととする。 ラットの動物実験については、おおむね順調に進み、平成27年度中に老齢ラット飼育のための動物導入を行い、更には、現在リタイアラット(6月齢前後±2~4週)の動物で賄うようにしているが、飼育条件の課題を検討する(僅かな飼育条件も加齢に影響するとみているため)。 組織解析は老齢群の血管摘出と標本作製(パラフィン)を27年度後半から開始した。現在、連携研究者らとともに光学顕微鏡観察の準備を進めている。更には、老齢ラット組織の有効利用を検討する(脳の解析など)。
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今後の研究の推進方策 |
上述の現在までの進捗状況に触れたように、老齢群の血管の組織解析を進めて構造と機能の連関を明らかにする。この結果から、機能的な加齢変化のうち構造上の変化によるものを明らかにし、高齢者における循環胴体とその調節機構、起立時間がいかに大切か、あるいは、日常生活における体位や姿勢、運動などの方策への基礎データを提供し方策のアイデアを創出する。 そのために、HUT実験に体性感覚刺激実験、体液量保持実験(補液、脱血)を組み合わせて、少なくとも次年度以降の科研費申請課題の新たな独創的研究計画の提案に資する。 老齢ラット組織の有効利用も進め、平成28年度4~7月には血管標本の解析結果から新知見を得、また、幼弱群の実験結果も例数を増して発達過程の知見も積み重ね、成長・発達・老化の一連の推移が明らかにし、学会発表での質疑応答から論文投稿へと進展させて次年度の科学研究費への申請採択準備に取り掛かかる。 そのために、昨年度までの成果を国際学会(関連2分野6.10月 4演題受理)で報告し、論文作成に取り組み、早期受理されるよう進め、平成29年度科学研究費申請「新学術領域:略称 宇宙に生きる 」さらに萌芽的研究として「高齢者の健康な暮らしのための住管機能維持に役立つ方策追求と自立的予防方法の提言」に資する結果を精力的に得る実験を推進する。 連携研究者らとともに結果の討論、解析計画(本年度解析日程を見直しながら協力を得て研究を推進する:共同研究立案へも繋げる。
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