研究課題/領域番号 |
26506024
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
山崎 将生 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (10192395)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 圧受容器反射 / 姿勢変換 / Head-up tilt / 血圧 / 老化 / 体液シフト / 自律神経 / 脳供血 |
研究実績の概要 |
当該年度は代表研究者の都合(後述)により研究期間を延長し、動物実験の結果を総括して投稿すること、平成30年度の科研費申請課題の基盤データの蓄積を目的に研究を推進した(不慮の事故で11月以降研究の纏めが不可能となったため)。 ラットでのHead-up tilting(HUT)実験で異なるHUT継続時間:5,15,30分でtrialをアトランダムに行いHUTから水平位に体位変換時の循環動態はどのように異なるかを調べ、これ迄の結果に加えて考察した。即ち、HUT体位変換時の循環因子、特に血圧と頭側への血流量の変化と、その変化における動脈圧受容器反射(BR)の働き、また、それらへ加齢が及ぼす影響を調べた結果、(前年度に引き続き)加齢に従って立位時の循環機能の維持能(特に血圧維持)は悪くなって、BRの血圧変動に対する求心性神経興奮が弱まることが示唆された。1)HUT姿勢から戻して水平位になった際、血圧、頭側の血流が安定するまで、姿勢変換直後に短い周期のFluctuation(3点以上)が観察される。このFluctuationはHUT時間ならびにBRの機能に依存して量的質的に異なることが分かった(老齢期には減弱)。このことは静脈還流量との関連も示唆されたため、平成29年度は「ヒト」の予備実験の遂行よりは新規申請のための結果を得るべく動物実験を優先した。2)比較的長めのHUT実験では20-30分経過時に、特にBRの求心性神経の役割が重要で、頸動脈洞と大動脈のそれら神経を切断・破壊後では、HUT30分経過後でも安定していた血圧は維持できすに低下していくことが分かった(7匹)6カ月齢以上1.5年齢のラットでは、これ迄の報告の通り、HUT時の血圧維持能が低いことがより強く支持する結果となった:なお、老齢ラットではHUT直後の血圧減少から増加に転じて一定値に達するまでに時間を要する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
但し、平成28年度付与の事故の後遺症が悪化したため、下期にまとめができなかった。連携協力者(日頃の共同研究者連携)により実験は細々と継続し、現在1年延長(5月)し、最終年度のラットの実験計画を再立案して、6月から集中的な実験遂行とデータのまとめ論文投稿を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り延長した最終年度は、次年度以降の当該科学研究費 「宇宙に生きる」への申請、重複申請可能な区分への新規申請を目指し、「ヒト」での実験計画を立案するが直接的に被検者での実験は行わず、老齢ラットでのHUT実験のデータを増し、かつ、成熟群において中心静脈圧と静脈還流を計測する実験を追加して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度下期に申請者は体調を崩したため、研究機関を1年延長した。
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次年度使用額の使用計画 |
本研究は宇宙生命科学分野の宇宙医学生理学関連の基盤研究である。 国際宇宙ステーションでの研究をはじめ、それら研究者との議論は、当該研究の推進と次元付き分野の学術発展に貢献できる。また、その分野での新規申請課題の立案においても重要であり、公的資金の社会への還元の意味でも国際学会等で公表することが必要であり有益である。 従って、当初の予定通り、成果公表のための旅費と動物実験の消耗品費として本年度経費利用計画(費目)を立てた。
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