過去の宇宙実験から、重力変化により筋肉やエネルギー代謝をはじめとする生体内の重要な分子群は、遺伝子発現に変化をもたらすことが見出されている。本研究は、線虫を材料とし、クリノスタットを用いた重力変化により影響を受ける分子群の同定と、重力変動が発生過程に与えるクリティカルポイントを探ることを目的とした。遺伝子発現解析の結果、発生の初期段階から体の形成に関連する分子が変化を示し、重力を感知する機構が体形成の過程に存在することが示唆された。発生の後半では、タンパク質のリン酸化に関連する分子群は模擬微小重力環境で発現が増大するなど、宇宙でも見られる重力変化の代謝機構への影響が考えられた。
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