研究課題/領域番号 |
26506031
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
芝 大 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙ミッション本部, 主任研究員 (50360722)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 一次繊毛 / 重力ストレス / 行動観察 / 受容体 / 平衡機能 |
研究実績の概要 |
初年度は、(1)マウス内耳組織取得および(2)遠心荷重負荷実験を実施した。遠心実験においては内耳破壊マウスと通常マウスの行動についてビデオ観察による定量解析系の構築を進めた。行動定量評価の解析は、エピゲノム解析における表現型評価に必要である。 (1)マウス個体の平衡感覚機能を担うのは、内耳にある平衡斑である。そこで、正常マウスから内耳組織を摘出する解剖系を構築し、実体鏡等で組織回収が出来ていることを確認した。 (2)1.4Gの荷重負荷を行った実験系において、負荷初期にマウスが底面に伏せ、活動量が大きく減少することが分かった。通常、マウス活動は立ち上がり回数などを赤外線レーザーや通常観察でのカウントを行うことで評価するが、マウスが底面に伏せた状態をこれらで評価することは難しい。そこで、EthoVision XT ver9.0 を用いピクセル解析を行い定量化した。通常マウスでは遠心初日の活動量は大きく抑制され、4日目まで急速に回復した。その後は変化は無かった。一方で内耳破壊マウスは遠心期間を通して活動量に差は無かった。この結果から、荷重は前庭を介してマウス活動を制御すること、さらに、遠心開始4日目以降においてマウスが荷重環境に慣れることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遠心飼育開始後のどの時点でマウス前庭を回収すべきかについて、実験系が設定されていなかったため、ビデオ解析によりマウスが遠心荷重環境に慣れる時期を推定した。少なくとも4日間は環境に慣れるために必要なことが分かった。また、最近報告された細胞実験でエピゲノム変化が刷り込まれるには、最低5日間必要である結果をあわせて、2週間の遠心飼育を十分な期間として設定した。初年度は、実験系設定作業に時間を費やした。既に、内耳組織の取得系については別途確立できているため、エピゲノム(DNA)解析を実施できるように調整する。
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今後の研究の推進方策 |
遠心飼育実験を実施し、組織を回収することでアレイ実験を実施する。繊毛機能との関連については、網羅解析だけでなく、繊毛に局在する受容体に焦点を当てその変化解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
遠心実験により回収した組織を解析委託する予定であったが、遠心期間の設定を実施したため、回収組織の解析費が次年度となった。
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次年度使用額の使用計画 |
理由にも記載したように、回収組織の外部解析委託を実施する計画
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