研究課題
マウスを遠心環境下(1.4G)で飼育すると、遠心開始直後は伏せ、かつ動かなくなる。しかし、遠心飼育を続けることで、その環境に慣れ通常と同じように活動できるようになる。この活動を定量化する解析フローを作成することを本年度の主要目的とした。1)経時時刻対アクティビティデータのヒストグラムを取ると、ポアソン分布の0<λ<=1に近い形状であった。そこで底に関する試行を行い、-log0.9Xを変換関数として設定した。変換されたヒストグラムは、左側の山、右側の山に分離され、左側の山と右側の山間の極小値を含まない値をしきい値とした。しきい値を真数に戻し、経過時刻対Active continousデータで、しきい値より大きい値が出ているとき、その瞬間の経過時刻(サンプリング)を活動している時間(Active time)、それ以外の時間を(Inactive time)とした。この算出手法は、実験ごとの飼育環境の「明るさのわずかな違い」に影響を受けないことが分かり、独立した飼育実験結果を定量的に処理することが可能となった。2)これまで実施してきた2~4週間の遠心飼育実験時のマウス活動をこの算出方法で再度定量化を実施した。結果、遠心飼育直後に激減した行動量は5日目には回復することが分かった。なお、前庭破壊マウスでは、この減少が見られなかった。3)このタイムコースデータを基に組織解析時期を設定しアレイ解析を進める。
2: おおむね順調に進展している
動画定量解析を実施する上で、当初は想定していなかった、実験ごとの飼育環境の「明るさのわずかな違い」が解析結果(活動時間計算)に大きな影響を与えることが判明した。しかし、行動ヒストグラム解析において、動画中の各ピクセルの光度をLinとして閾値設定するのではなく、Log解析として実施することで本課題を解決することが出来た。解析はおおむね順調に進んでいるが、解析フローが修正されたため、前年度に実施していた定量化解析を再度実施することとなり、そのための時間が必要となっている。
遠心飼育実験を実施し、組織のアレイ解析を進める。特に、本年度設定したタイムコースをもとに1)遠心直後(2hr後程度)状態2)行動力回復期(2日後)3)定常期(2週間後)の解析を順次進める。
初年度の解析の遅れにより、経費の繰り越しが発生していた(約42万円)。当該年度(2年目)にその一部を使用したが、残り(合計約30万円)は次年度(3年目)に繰り越しとなっている。
行動解析法の精度が上がったため、より精度を高くサンプリング時期を設定することが出来た。そのため、時期を絞った組織サンプル解析を行うこととする。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
PLoS ONE
巻: 10-7 ページ: e0133981
巻: 10-10 ページ: e0141650