28年度はBTBD9変異マウスの電気生理学的な測定を実施した.マウス脳に脳波電極を留置し、下肢に筋電図電極を留置した.マウスは自由な活動ができる状況下においた.測定項目は睡眠ステージ、脳波周波数、下肢運動量などである.変異型と野生型を比較したところ変異型ではREMの減少が有意であった. これらのマウスに患者血清を腹腔内投与し、睡眠の状況や下肢筋活動がどのように変化するか測定した.投与血清はプラセボ、健常者、特発性、、腎不全患者を用いた.さらに血清投与後にロチゴチンも投与し、睡眠状況がどのように変化したのか測定した.患者血清は変異型においてNREMでの筋活動を増大させた.また、その増大はロチゴチン投与によって抑制された.以上をまとめると、変異型は定常状態で睡眠への影響を認め、その変化は患者の血清で増強され患者の血清内には何らかの疾患誘導物質が含まれていることが示唆される.さらに、患者血清により増大した睡眠への影響は、治療薬であるロチゴチンにより抑制された. ドパミン細胞株を用いた分子生物学的解析では、BTBD9機能抑制細胞株をsiRNAによって作成し、対照細胞株と傷害性について比較した.傷害性はLDHを測定したところ、機能抑制株において有意にLDHが上昇しており、BTBD9機能がドパミン細胞にとって重要な役割を担っていることが考えられた. 脳組織のドパミン細胞数計測では幼若マウスでは黒質、A11領域共に変異型と野生型で統計学的なさは認められなかった.成熟マウスでは変異型で減少しており、加齢によるドパミン細胞の減少が生じそれは変性によるものと示唆された.
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