研究課題
2007年から実施してきた1万人規模のゲノム疫学研究の研究成果は論文化されつつある(SLEEP 2014;37(11):1809-15; J Dent Res 2015;94:52S-8S)。その結果、睡眠時間が短いほど、胃食道逆流症(OR:1.19; 95%CI: 1.07-1.32)や夜食や朝食を抜くなどの望ましくない食事習慣(OR:1.19; 95%CI: 1.13-1.26)のオッズ比が高くなることなどが明らかとなった。2013年に滋賀医大に異動してから、滋賀医大における臨床及び疫学研究も成果が出てきている(Sleep Breath 2014; 18(2):359-66; J Sleep Res 2014;23(5):517-23; J Oral Sleep Med 2015 in press)。その結果、6-8歳の睡眠時無呼吸症候群の有病率は3.5%程度であること、認知症が重症なほど睡眠時無呼吸症候群が重症であること、短時間睡眠や交代勤務がうつ症状のリスク因子であることなどが明らかとなった。2014年には、主にがんを対象とした大規模ゲノムコホートに共同研究者として参加し、睡眠疫学研究を追加実施した。また、それとは別個に大阪の職域にて実施したゲノム疫学研究も論文化され(Sci Rep 2014; 4: 6309; Respiration 2014;88(3):234-43)、概日リズム遺伝子であるPER3の多型が夜型や概日リズム性睡眠障害(自由継続型)と相関することなどが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
2013年に滋賀医大に異動してからは、倫理審査に時間がかかっているために“ながはま0次コホート研究”の対象者に睡眠とメンタル・ヘルスを追加することは実現できていない。しかし、その一方で、滋賀医大において臨床研究や疫学研究も新たに実施・展開しており、また、J-MICCのゲノム疫学研究(大幸研究 約2200名)に睡眠の質問票調査および睡眠覚醒のリズムを計測するための活動量計の1週間連続測定を追加するなど、新たな研究の進展が見られている。
倫理審査が承認され次第、“ながはま0次コホート研究”の対象者に睡眠とメンタル・ヘルスを追加実施する疫学研究(長浜0次睡眠研究)を再開する。それ以外に、J-MICC(大幸研究)の調査結果の解析、滋賀県の企業従業員を対象とした疫学調査の実施(大幸研究と同様に質問票と活動量計による概日リズムの測定)の予定である。さらに、滋賀県の公務員を対象としたコホート研究も実施する予定である、具体的には、2014年に甲賀市市職員全員(約900名)を対象とした睡眠とメンタルヘルスの質問票調査を実施しており、その追跡調査を計画している。また、国際不眠ゲノム研究コンソーシアムに、日本人として唯一参画し、世界最大の睡眠ゲノム疫学共同研究を実施しているが、今年度はその成果を論文化する予定である。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (25件) (うち国際学会 1件、 招待講演 9件) 図書 (2件) 備考 (4件)
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