閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)は、高血圧や糖・脂質代謝異常などを合併し、交感神経活性、間欠的低酸素、全身性炎症の亢進などを契機として、心脳血管障害の危険因子となり、患者の生命予後に影響する。またこのような全身障害だけでなく、気道炎症が存在し、慢性咳嗽などの局所障害をおこしうるが、これらの全身・局所の併存病態の関連は明らかではない。本研究では、プロスタグランジンやロイコトリエンといったエイコサノイドに着目し、その一斉解析という独自の手法を用いて、患者検体からアラキドン酸代謝物を測定し、睡眠障害と循環器系を中心とした併存病態との関係を包括的に解明することを目標とする。 本研究は、倫理委員会の承認後実施された。最終結果として、45人の患者を登録し、追跡し、終了した。うち有効データは42人、CPAP治療対象で3ヶ月後の追跡が終了した患者は21人であった。本研究の特徴として、ポータプレスを用いて、血圧、心拍数、左室駆出時間などの心機能をリアルタイムにモニターしていることである。それによると、CPAP適応患者、つまり中等症以上のOSA患者において、収縮期血圧・平均血圧・拡張期血圧は入眠前より起床後に上昇しているが、CPAP治療後は、その上昇率が抑制されており、CPAPの降圧効果が確認できた。ただし、脈拍に関しては、入院前と起床後、またCPAP治療前後で差がなかった。現在これに、エイコサノイド一斉解析の結果をつけあわせて解析中である。 このように最初の論文のテーマとして、高血圧とOSAとCPAP治療との関係を中心として、データ解析と論文執筆をすすめている。論文は、海外誌へ投稿できるよう、準備している。
|