研究課題/領域番号 |
26507010
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
葛西 隆敏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60465036)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 心不全 / 水分シフト |
研究実績の概要 |
心不全患者の予後改善のために対処可能な予後規定因子の同定が重要とされており、その一つとされる睡眠時無呼吸症(Sleep Apnea: SA)の病因として、日中下肢に貯留した水分が就寝時に仰臥位の姿勢をとることで上半身へ再分布する水分シフトがあり、その関連性をさらに証明する目的で、心不全の病態が変化すると水分シフト量も変化し合併するSAの状態も変化するか否か、また、水分シフトを減少させるような介入によって、SAの状態が変化するか否かなどを明らかにすることを目的とした以下の観察研究を行った。 1) 急性非代償性心不全にて入院した患者において、急性期を乗り越え安定期に入った比較的早期の段階と退院直前に、終夜睡眠ポリグラフ(PSG検査)とその際の水分シフト量の測定、心機能評価、日中活動性の評価を二回行い、通常の心不全治療・心機能の改善に伴い水分シフト量、SAの重症度、タイプの変化が見られる否かと各変化同士の関連性を検討した。これに関しては、18例の患者で安定期に入った比較的早期の段階でのPSG検査と水分シフト量の測定、心機能評価、日中活動性の評価を行った。そのうち4例において二回目のPSG検査と水分シフト量の測定を行い、心不全の病態の変化に伴うSAの状態の変化について検討し、中間解析を行った。この中間解析結果を国内学会(第79回日本循環器学会学術集会)へ応募し発表した。 2)僧帽弁閉鎖不全の手術症例において、手術前後での心不全・心機能の改善に伴い水分シフト量の変化、SAの重症度、タイプの変化が見られるか否かと各変化同士の関連性の検討については、2例の僧房弁閉鎖不全症例で術前術後のデータを収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下肢水分量の測定のための装置の専用電極がはがれやすいため予想よりも多く必要となったが、オーストラリアから個人輸入の形で入手しなければならず、その手続きなどで予想外の時間を要したために遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
現在は専用電極を予定された測定回数で使用する数よりも多く入手できたため、今後はこれの入手による遅れは生じないものと考える。当初の予定を半年ずらし、本年度の上半期中に急性非代償性心不全にて入院した患者における通常の心不全治療・心機能の改善に伴う水分シフト量、SAの重症度、タイプの変化に関する検討の予定した30症例のデータを入手し終了させる。さらに僧帽弁閉鎖不全の手術症例における術前後での水分シフト量の変化、SAの重症度、タイプの変化に関する検討も当初の予定を半年ずらし昨年度の予定である10症例に加え10症例として計20症例のデータを入手し、予定数のうち残る10症例分のデータは来年度に繰り越す。本年度から開始予定であった心臓リハビリテーション(心リハ)による介入研究に関しては、その準備を本年度内に開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
追加購入を予定していた生体インピーダンス法による水分量測定装置とアクチグラフが丁度バージョンアップするということで昨年度内での購入をやめ、今年度購入を予定していたPCと統計ソフトの購入と切り替えたため。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度末に水分量測定装置とアクチグラフの新しいバージョンのものが市販開始されているので、そちらの購入に当てる予定。
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