研究課題
心不全に合併する睡眠時無呼吸症(Sleep Apnea: SA)の病因である水分シフトに関連する以下の研究を継続中である。1) 急性非代償性心不全にて入院した患者において、急性期を乗り越え安定期に入った比較的早期の段階と退院直前に、終夜睡眠ポリグラフ(PSG検査)とその際の水分シフトの測定、心機能評価、日中活動性の評価を二回行い、通常の心不全治療・新機能の改善に伴い睡眠シフト量、SAの重症度、タイプの変化が見られるか否かと各変化同士の関連性を引き続き検討した。これに関してはこれまでの症例に追加して計30例の患者で安定期に入った比較的早期の段階でのPSG検査と水分シフト量の測定、心機能評価、日中活動性の評価を行った。このうち計8例では二回目のPSG検査と水分シフト量の測定を行い、心不全の病態の変化に伴うSAの状態の変化について再度解析を行っている。この解析結果は、中間解析の結果も含め昨年度に続き、国内学会(第63回日本心臓病学会)で発表し、平成28年4月末に開催予定の国際学会でも発表予定である(CardioSleep Conference 2016)。2) 僧帽弁閉鎖不全の手術症例において、手術前後での心不全・心機能の改善に伴い水分シフト量の変化、SAの重症度、タイプの変化が見られるか否かと格変化同士の関連性の検討については、昨年に引き続き症例を集積中であり計5例で術前術後のデータを収集した。3) 心臓リハビリテーション(心リハ)による介入研究に関しては、研究計画書を作成中であり、倫理委員会での承認のための準備を行っているが、本年度で臨床研究の指針が改定されたこともあり、当初の予定を大幅に修正する必要性が生じたため予想外の時間を費やしている。
3: やや遅れている
前年度の下肢水分量測定のための装置の専用電極の入手に伴う遅れを取り戻せないでいることが主な原因である。また、追加購入を予定していた生体インピーダンス法におる水分量測定装置のバージョンアップの時期と重なり、購入を本年度に持ち越したが、製造会社の合併などに伴い新規の水分量測定装置の発売が大幅に遅れており、旧機種も在庫の関係で購入できない状況であったため、装置の追加ができなかったことも影響している。心リハによる介入研究に関しては臨床研究の指針が改定に伴い、倫理委員会承認のための書類の再作成、モニタリングのための準備などあり、予想外の時間を費やしたことが影響している。
新規の水分量測定装置購入も検討したが、現状保有している装置との互換性に問題があるため断念し、現状保有している装置のみで追加なしで研究を進めることとなった。このため当初の予定をさらに半年ずらして研究を進める。具体的には、急性非代償性心不全にて入院した患者における心不全治療・心機能改善に伴う水分シフト量、SAの重症度、タイプの変化に関する検討について、前後二回の測定ができた症例をあと2例(計10例)得られたところで終了として最終解析を行い論文化する。僧帽弁閉鎖不全の手術症例における術前後での水分シフト量の変化、SAの重症度、タイプの変化に関する検討は10~15症例が得られた段階で中間解析を行い本年度内での完遂を目指す。心リハによる介入研究に関しては、当初は予定していなかったモニタリングや保険加入などの費用が発生するため、装置購入のための費用をそちらに回し、本年度中の開始を目指している。
論文の執筆が年度末ぎりぎりとなり英文校正など年度をまたぐ可能性のある支出を避けたため。
次年度に発注に英文校正費用として使用予定
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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