睡眠相後退型概日リズム睡眠障害において、その症候は睡眠相の後退と固定である。症候は単純であるが、治療に難渋することが多く、若年者において将来における社会的ハンディキャップとなりうる。発症機序は、体内時計の遅れをもたらす行動学的要因として理解されるが、睡眠相後退が固定し前進させることが困難になる機序についてはわかっていない。今回の検討から、断眠のように覚醒を長時間続けても睡眠圧を高めることができないことが、治療の困難性に関連していることが示唆された。今後、概日リズムの位相後退と睡眠恒常性調節機構の両者に効果的に働きかけるような治療手法の開発が望まれる。
|