「原発震災と市民社会研究―グローバルな連帯による子どもの保護を考える―」の第3かつ最終年度として、追加の研究資料収集や成果発表のための出張を計15回(県内12回、本土5回、海外3回)実施した。 沖縄県内では、年間を通じて日本環境会議・沖縄大会の実行副委員長として、10月の大会を成功に導いた。大会では全体の統括と同時に第5分科会「放射能公害と人権」のコーディネーターを務め、発表者として研究成果を社会還元することができた。 東京では5月と7月の2回に渡り、世界への原発輸出に関する専門家会議を持ち、研究成果の共有とともに、今後の共同研究に向けた有意義な議論を行うことができた。また11月には三重でフィールド調査を行い、原発計画の廃案に寄与する市民活動についての貴重なデータを収集できた。2017年2月には兵庫で、国内学会発表を行った。 海外は2016年3月にカナダおよびフランスでフィールド調査および研究成果発表の講演を行い、出張費用の一部を2016年度の経費とした。9月にはベトナムで追加のフィールド調査を行い、研究データを完結させた。8月にはチェコ、プラハにおいて、また11月にはアフリカ、シエラレオネにおいて国際学会での研究発表を行った。 以上の研究活動を通し、雑誌論文2本を発表、また国内外での学会発表は計5本を数えた。一般雑誌や新聞での記事執筆は多数にのぼる。福島の原発震災を通し、ベトナムでの原発建設計画に関してどのように住民、特に先住民族の人権に配慮した子どもの保護のあり方に、国内外へ研究成果をアピールできたことと考える。折から、本研究期間の終わりに呼応するかのように、同原発計画は廃案となった。駆け込みで新聞・雑誌に掲載した廃案の原因を分析した記事を含め、本研究3年間の成果を120ページの冊子にまとめて印刷、製本、配布した。研究成果が現実の社会を動かす一因になったのではと考える。
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