研究課題/領域番号 |
26510015
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
郭 基煥 東北学院大学, 経済学部, 教授 (10551781)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 震災 / 外国人 / ユートピア / 多文化共生 / 流言飛語 |
研究実績の概要 |
2015年度は、主に①2014年度に続き、被災地特に石巻在住の外国出身者の被災後の経験の聞き取りを続けるとともに、②新たに、非常事態における日本人と外国出身者の苦境の共有経験が今後の多文化共生社会の構築にどのようなインパクトを与えうるのか、理論的な考察をしてきた。 調査については、5月1日~3日に盛岡周辺地域、5月30日~31日に石巻、6月13日~14日に石巻、6月27~28日に石巻(牡鹿半島)、8月1日~2日に石巻、11月28日~29日に石巻にて調査を行った。これらの調査からは引き続き夫婦関係を軸とした家族関係が安定し、その結果、生き生きと日々を送っている外国出身者と、そうでない外国出身者に分かれつつある現状が見えてきた。特に仮設に暮らしている高齢の外国出身者(在日コリアン)のような場合、生きる意味を見いだせない状況に直面してもいる。また震災直後において「外国人犯罪の噂」が流れていたが、当事者自身がこうした現実をなるべく見ないようにしているという側面も見えてきた。 総じて、震災時の共助の関係が新しい共生の形を切り開くという見込みも、今のところ、きわめて局所的にしか現実化していないのが現実である。こうした認識から、災害時のユートピア的側面の裏面である「外国人犯罪の噂」(流言飛語)がどのように拡散し、どのように外国出身者が自分の来歴をオープンにすることを妨げているかということを研究の柱とする必要を感じるに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災から5年が経過した現在、新しく外国出身者に会い、その経験や現在の状況を聞き出すことが徐々に難しくなっている。また今年度の聞き取りの途中から、外国人をめぐる災害時の流言飛語をめぐって調査することの必要性を感じ、それに関する質問を含めたアンケートを行うことに方針を替えたことから、そのための準備(災害時の流言飛語に関する文献調査や、流言の内容の把握など)を始めたため、アンケートは今年度、実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
災害時の共助のユートピア的側面を今後の多文化共生社会の構築に活かすためには、当時の暗部ともいうべき外国人をめぐる流言飛語の研究が不可欠であることが認識された。したがって、今後はこの点に関して、①被災地の特定地域の日本人住民への聞き取り調査を進める。同時に②ネット上や大衆雑誌などでの流言飛語の特徴や発生時期について文献調査を行う。そのうえで、③これらの流言飛語が外国人にどのような影響を与えているのかをアンケートと聞き取り調査によって明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの震災時の「外国人」についての流言が日本、特に被災地に居住する外国出身者の生活環境や日本人との共生において、重要かつ持続的な、しばしば負の影響を及ぼしていることが明らかになってきたため、震災後の「外国人」についての噂に関して、日本人市民を対象に調査をする必要が新しく生じてきたため、27年度実施予定であった量的・質的調査を、平成28年度に上記内容を加えた、日本人住民への大規模アンケート(3000名規模)として実施することとしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
文献調査、聞き取り調査、アンケート調査を行う。文献調査は主に週刊誌の記事の調査。聞き取り調査は特定の沿岸被災地を選定し、その在住者(日本人、外国人)に対して集中的に行う。アンケート調査は、被災地居住の日本人住民を中心に、3000名程度のサンプリング調査を行う(仙台市住民2000名程度、比較対象として東京都新宿区住民1000名程度)。
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