研究実績の概要 |
本研究は,日本企業のBCPを実証的に分析調査することにより、①効果的なBCP手法の開発と②BCP策定を推進するマネジメントを提案することを目的とする。この目的を達成するために、東北地区,阪神地区の企業事例の現状と変化を分析して,現実適応力の高い研究成果の公表を目指している。 平成28年度は、①企業が発行するサステナビリティ報告書および有価証券報告書情報の情報分析、②東証1部及び2部上場企業(2,574社)に対しBCP策定マネジメントに関する質問票調査の設計と実施・回収、集計結果報告書の作成を行った。 平成28年度に行った質問票調査結果、東証1部及び2部上場企業の95%がすでにBCPを策定済であった。また、外部要因の策定理由は、「災害・事故・テロなどの危険性の増大」と「東日本大震災の状況を見て」が多く、内部要因には「製品の安定供給」「CSRの観点」「過去の災害、事故の経験等からの必要性」「事業リスクの低減」「従業員の安全を守るため」が指摘された。さらに、①効果的なBCP手法の開発と②BCP策定を推進するマネジメントについては、「経営トップの指示、強い意志」は重要で、「事業リスクとしての強い懸念」を共有し、BCP策定を経営課題として位置づけることが重要であることが明らかになった。 BCPを策定しない理由は、「コストがかかる」「策定する人材が確保できない」が指摘された。 今後はBCPの策定が遅れていると指摘されえている中堅企業を対象とした質問票調査を実施し、中堅企業がBCPを策定しない、あるいは策定できない理由を明確化し、BCP策定を推進させるマネジメントを明確化することが課題として重要であることが明らかになった。 なお、研究成果のまとめ、論文化については最終年度に間に合わず、平成29年度に実施する。
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