研究課題/領域番号 |
26512004
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鶴田 潤 東京医科歯科大学, 医歯学融合教育支援センター, 准教授 (70345304)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生涯研修制度 / 生涯教育制度 / CPD / Revalidation / Quality Assurance |
研究実績の概要 |
本年は日本・EUの制度概要調査を行った。日本では日本医師会が「日本医師会生涯教育制度」を実施し非会員参加も可能であり、単位取得には3年内での講習会・学会参加や臨床実習・研修指導などが対象、60が認定要件であった。日本歯科医師会は「日歯生涯研修」を実施し会員のみが対象であり、単位取得は2年内の講習会・学会参加などが対象、原則40単位が認定要件であった。 EU/EEA加盟各国では、2015年1月に欧州委員会HPにEU域内Continuing Professioanl Development(CPD)の大規模調査結果が報告され、現在情報分析中である。英国Gneral Medical Council(GMC)、General Dental Council(GDC)HPおよび現地調査では、GDCは患者保護目的に歯科医師登録管理の一環として2008年にCPD制度導入をし、5年毎250時間が必要条件であった。研修団体認定制度はなく研修内容は受講者責任にて判断されるものであった。そこで、2014年、COPDEND (UK Committee of Postgraduate Dental Deans and Directors)により、受講者・研修団体対象に「Quality Assurance Framework for Dental CPD Booklet」が発行され、研修をカリキュラムにより2種に選別可能とした。GMCでは2012年導入の5年毎の「Revalidation」の一条件としてCPDが含められたが、Revalidationの判断条件として具体的な実施時間数は要求していなかった。専門職の研鑽を目的とした生涯研修制度や患者診療に関わる専門職の質維持(医籍登録維持)を目的としたCPDは卒後研修機会として同等に扱えるものの、制度設置の目的・管理方法に違いがあることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標として、我が国の医師・歯科医師の研修制度、また、諸外国、特に、国家間協定(経済連携協定)をもととして、専門職人自由移動が可能であるEU域内の制度の状況を明らかにすることとした。英国訪問調査では、英国内でCPDに精通している研究者として、DentCPDの中心的役割を果たすカーディフ大学教授2名らとの面会が実施でき、ヨーロッパ歯科医学教育学会での最新動向の情報入手、また、EU Commission における調査報告書「Study concerning the review and mapping of continuous professional development and lifelong learning for health professionals in the EU 」の情報提供を受けるなど、EU域内におけるCPD概要を把握するための最新の情報を十分に得ることができた。また、英国GDC担当者との面会ではGDCとGMCのCPDの方針の違い、実際の管理団体の立場に関する情報を収集できた。King’s College London 訪問では、教員インタビューにより、大学内での研修事業のあり方、一歯科医師として参加する研修会の種別・記録について知見を得た。研修センターであるLonDec訪問では、研修プログラム詳細・運営などの情報を得ることができた。EU全体、英国CPD情報収集は、目標とした段階を達成できている。日本医師会、日本歯科医師会に関する情報も同様に収集できており、総じて情報収集は進展は概ね良好な状態である。一方、得られた情報の処理について短期補助者条件に合う人材が採用できず資料分析に時間がかかることとなり、翻訳作業などは委託にて解決を図った。日本歯科医師会・各大学同窓会へのインタビュー調査(連絡済み)、一部情報分析は、次年度へ持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度を終了した段階で、1.初年度収集した情報の一部の分析、2.国内団体へのインタビュー調査が次年度への持ち越しとなっている。次年度の予定では、国内卒後制度における専門医に関する情報収集、およびインドネシア(ASEAN)でのCPD制度、専門医制度に関する情報収集を予定していることから、これら研究計画に、初年度の持ち越し内容を加える必要がある。初年度得られた情報源として、英語ドキュメントが多数含まれることから、研究者による情報分析に加え、初年度に比較して、翻訳作業を有効的に利用する方策を多く取り入れることで、2年目の研究作業を推進する予定である。また、アジア諸国における情報源として、当地言語が使用されているものも同様に翻訳作業を有効に利用する予定である。研究協力者については、より広い観点からの考察を含めるために、各学会の主要人員への協力を要請するとともに、学内においても協力者を募り、得られる情報への分析の体制を厚くする予定である。前年度、短期補助者を雇用できなかった予算および予定物品購入ができなかった予算の繰越については、翻訳、委託作業などへの利用を計画するものである。
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次年度使用額が生じた理由 |
・事務補助者として雇用する人材の採用の選定において、雇用条件に見合う人材が見つからず、雇用できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、事務補助者採用活動を続けるとともに、必要となる作業(翻訳作業)などについて外部に委託する際に使用する計画である。
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