近年,環境問題への関心が高まるなか,様々な学問分野で環境政策の内容や運用の実際をめぐる研究がなされるようになったが,環境政策がいかなる過程を経て成立するに至ったかについては十分に研究されていないのが現状である。このように,環境危機への対応として進められた環境政策の誕生背景,政策過程,その後の変遷を政治的・社会的・経済的文脈のなかに位置付けた歴史的研究は,これまで殆ど注目されてこなかった。そこで,われわれは,新しい環境研究を探求し,環境政策の成立・展開を歴史的に考察するEnvironmental Policy Historyという新しい視点の必要性を提唱し,その理論的及び実証的検討をおこなった。
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