研究課題/領域番号 |
26512008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
土井 勉 大阪大学, コミュニケーションデザイン・センター, 教授 (30388805)
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研究分担者 |
安東 直紀 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20432362) [辞退]
西堀 泰英 公益財団法人豊田都市交通研究所, その他部局等, その他 (80531178)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生成原単位 / パーソントリップ調査 / 若年者の交通行動 / 交通政策 / 公共政策 / 将来交通量 |
研究実績の概要 |
26年度はパーソントリップ調査のデータ分析を通して,若者だけでなく30~40歳代の人たちの生成原単位が減少していることを把握した.また,近畿圏の将来人口推計結果を利用して,都市圏における手段別・目的別の将来交通量を推計することができた.20年後には人口は約1割減少するが総交通量は14%減少することを把握することができた. これにもとづき27年度は,外出していない人たちの日常正確の状況と外出している人たちとの違いを把握するためにWEBでのアンケート調査の分析を実施した.これより外出が多い人たちと少ない人たちでは,年収が約100万円程度の差があることや運転免許証の保有状況に差があることを明らかにすることができた.この結果については,土木学会第51回土木計画学研究発表会(6月,九州大学)で「若年層における生成原単位減少の背景に関する考察」として論文発表を行った. 次に,この10年間で最も年齢階層別に見た生成原単位の減少が大きな30歳代前半世代について,より詳細なPTデータの集計を行った.この結果,この10年間で大きくトリップが減少しているのは,無職の親などと同居している人たちであることを把握した.こうした属性の人たちが増加していることが生成原単位減少の背景の一つであることを確認することができた.次に交通行動の連続性を確認するためにトリップチェーンに関する集計を行った.この結果,10年前と比較すると一日に複数回のトリップを行う人たちや,一度の外出で複数のトリップを行う人が減少していることも明らかにすることができた.この結果については,土木学会第52回土木計画学研究発表会(11月,秋田大学)で「30歳代前半世代における生成原単位減少の実態に関する分析」として論文発表を行っている. また,これらをとりまとめて土木学会論文集に投稿している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者・分担研究者・研究協力者を含むパーソントリップ調査や総合交通政策に関心がある研究者・実務者から構成される「生成原単位研究会」を設置し,節目ごとに研究会を開催することで研究の方向や進捗を確認し,データを見ながら意見交換をすることで確実な工程管理を実施すると共に,研究内容に深みを出すことが出来た.また近畿圏PTだけでなく首都圏の研究者と交流することで東京都市圏の状況なども把握することができた, さらに,土木計画学研究発表会で2本の論文発表を行うとともに,これらをまとめて審査付き論文1本を投稿することができた.
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今後の研究の推進方策 |
生成原単位研究会の活動を継続し,研究を推進していく予定である. これまで実施したWEB調査の結果から,インターネットの利用頻度と交通行動の関係についての分析を進めることや,PT調査データからは30歳代に関するコーホート的な分析を行い,世代間の交通行動の差異についても把握したいと考えている.これらについて複数の論文発表を行うことを予定している. さらに,今年度が当科研費補助の最終年度になるため,これまでの蓄積した研究とりまとめて報告することと,外部有識者や実務者を交えた意見交換をするための公開研究会を秋に開催し,研究成果を広く知っていただくことと,そこで多様な意見をいただく機会とする予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初想定していたデータの集計の外注を内製化することで費用を軽減化することができた.
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次年度使用額の使用計画 |
今回の予算によりPTデータやWEB調査結果の集計を更に進めるとともに,今秋に予定している公開研究会の開催を関西から東京に変更し,より多くの人たちに成果の発表を行うと共に多様な意見交換を行うことを計画している.
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