研究課題/領域番号 |
26512009
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
井田 知也 大分大学, 経済学部, 教授 (50315313)
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研究分担者 |
小野 宏 大分大学, 経済学部, 准教授 (30381023)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公共経済学 / 地域経済学 / 都市・地域計画 / 人口減少社会 / 地方分権 / 北欧 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
人口減少社会の到来に伴い税収減が見込まれる中、歳出削減等を含む財政健全化は、地方自治体の喫緊の課題である。他方、地方分権に係る第2次一括法により、2012年から都市計画の権限が市町村に大幅に移譲される等、それに大きな影響を与える都市政策の地方分権も進む。従来から日本では都市構造と財政運営は個別に分析され、両者の関係については研究が乏しい。本研究の目的は、都市構造が地方自治体の財政に及ぼす影響について経済分析を行い、都市管理に必要な基礎資料を構築すると同時に、その具体的な政策形成への活用法も示すことにある。 本研究が基盤とする拙共稿(2013 日本財政学会第70回大会)は、欧米社会を前提したHortas-Rico and Sole-Olle(2010 Urban Studies)を踏襲しており、我が国の地域事情が十分に反映されていない恐れがあった。そこで、本研究プロジェクトが計画した活動の中から、平成26年度は研究実施計画書が示した通り、次のような基礎・理論・実証分析を行った。第1の基礎分析では、井田が図書・資料等の文献調査を中心に日本の地域事情の把握に努めた。その結果、我が国の公務員の賃金率の決定プロセスは欧米とは異なり、地域間格差が小さいことが確認された。第2の理論分析では、井田が基礎分析の結果を踏まえ基礎モデルの再構築を行った。具体的には、従来の先行研究とは異なり、理論的に導出する推計式において公務員の賃金率を定数項に含めた。第3の実証分析では、小野准教授が前出の推計式に基づき我が国の市町村データを用いて歳出関数の推計を行った。その結果、本研究が基盤とする前出の拙共稿と比べて、安定的な推計結果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成度に関する自己点検の評価理由は次の通りである。第1の基礎分析では、図書・資料等を通じた文献調査を行い、我が国の地域事情を把握することができた。第2の理論分析では、基礎分析の結果を踏まえ、我が国の地域事情に即して、基礎モデルを再構築することができた。第3の実証分析では、我が国の市町村データを用いて、理論分析で導出した推計式に基づき、歳出関数に係る安定的な推計結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は研究実施計画で予定した分析内容に加え、平成26年度に未着手な研究等も計画している。しかし、現在、井田・小野の双方が本務校の業務が多忙なため、基礎分析として当初予定していた国内現地調査の実施が厳しい場合には、図書・資料等の文献調査をさらに進めその補完を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は年度途中から井田・小野の双方が本務校の業務が多忙となり、当初計画していた基礎分析に係る国内外の出張を全て中止せざるを得ない状況に至ったことが主たる原因である。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度も上記の本務校での業務が継続され基礎分析に係る日程調整が難しい場合には、専門家からの意見徴収よる基礎分析の補完も兼ね、翌年度に予定していた国際学会での成果報告を本年度に実施する。
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