研究課題/領域番号 |
26512009
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
井田 知也 大分大学, 経済学部, 教授 (50315313)
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研究分担者 |
小野 宏 大分大学, 経済学部, 准教授 (30381023)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公共経済学 / 地域経済学 / 都市・地域計画 / 人口減少社会 / 地方分権 / 北欧 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
戦後、我が国は一貫して人口増加を続けてきた。しかし、日本は今後50 年間で総人口が約4000万人減少して1億人を割ると推計されている。また、2060年の生産年齢人口は現在の約半数となる一方、65歳以上人口割合は39.9%に達するとの予測もある。このような超高齢化を伴う人口減少社会では、財政面では税収等の減少は避けることはできない。そのため、歳出削減等を含む財政健全化は、地方自治体の喫緊の課題である。 地方自治体の財政運営に影響を及ぼす要因として、欧米では都市構造が注目されてきた。しかし、日本では都市構造と財政運営は個別に分析され、両者の関係の研究が乏しい。そこで、本研究では都市構造が地方自治体の歳出入に及ぼす影響について経済分析を行い、都市管理に必要な基礎資料を構築すると同時に、その政策形成への活用も示す計画である。 平成27年度は前年度の研究成果を踏まえて、次のような基礎・理論・実証分析を行った。第1の基礎分析では、理論分析のモデル構築や実証分析の推計結果を分析する上で必要となる地域環境や地方公共サービスの実情を実務担当者から意見徴収を行った。第2の理論分析では、実証分析の閾値回帰で必要となる推計式を、公共サービスの費用関数と需要関数の結合から理論的に導出した。第3の実証分析では、Hansen(2000, Econometrica pp.575-603)の閾値回帰分析の手法を用いて、地方政府の歳出関数を日本の市町村データ等に基づき推計した。そして、1%の都市拡張は公共サービスの供給費用を何%増加させるのか、という公共サービスの供給費用に係る都市スプロール弾力性を地方公共団体の規模別に計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成度に関する自己点検の評価理由は、次の通りである。第1の基礎分析では、実務担当者から意見徴収を行い、理論分析のモデル構築や実証分析の推計結果を分析する上で必要となる地域環境や地方公共サービスの実情を調査できた。第2の理論分析では、実証分析の中で行う閾値回帰の基盤となる推計式を導出できた。第3の実証分析では、閾値回帰分析の手法を用いて、我が国の市町村の歳出関数の推計から、公共サービスの供給費用に係る都市スプロール弾力性を地方公共団体の規模別に計測できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は研究計画で示した分析内容に加え、平成27年度までに未着手な研究を中心に計画している。しかし、代替手段を用いた方が効果的であると判断した場合にはそれを通じて研究を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1に、平成27年度も昨年度に引き続き、井田と小野の双方が本務校の業務が多忙となり、当初計画していた基礎分析に係る国内外の出張を全て中止せざるを得ない状況にあった。第2に、研究協力者のWilhelmsson王立工科大学教授も多忙となり招聘が難しい状況にあった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度となる平成28年度は研究計画書に記載した基礎・理論・実証分析を中心に、物品費等を用いて適時実施する。その後、外国旅費を用いて研究成果を国際学会で発表すると同時に、そこでのコメントを基に改訂した論文を謝金により英文校閲にかけ、その他に計上した費用を用いて国外学術雑誌に投稿するなどの研究活動を行う。
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