研究課題/領域番号 |
26512015
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
真喜屋 美樹 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (40616380)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 公共政策 / 地域経済 / 内発的発展 / 沖縄 / 米軍基地跡地 / 再開発 / 大型商業施設 / 環境 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、沖縄本島中南部都市圏で行われた旧米軍基地における跡地利用の実態調査を行った。 平成22年に返還された北中城村に所在する旧米軍施設アワセゴルフ場の跡地に、平成27年4月、大手流通資本が県内最大規模の大型商業施設を建設し、跡地利用の主要な再開発プロジェクトが完了した。沖縄県によると、これまで沖縄県内で行われた過去の基地跡地利用では、返還から再開発完了までに平均20年の歳月が費やされているが、旧アワセゴルフ場の跡地では、返還から5年でこれらの事業が行われた。再開発事業の主体となった地権者は、「地権者利益の確保」を最優先課題として当該事業を計画、推進した。その結果、地権者が再開発のパートナーとしたのは、資金力があり、従来の沖縄にはない大規模な商業施設を作ることができる大手流通資本であった。この開発過程からは、基地跡地での再開発における地権者の負担の大きさなど、跡地利用における構造的な問題が浮かび上がってくる。他方、北中城村に隣接する沖縄市や北谷町などの既成商業地は、直線距離5㎞以内に大型商業施設が登場するために、それぞれの地域特性を活かした対策を取り始めたが、客足が落ち込むことは必至で影響の大きさは計り知れない。 この事例は、本研究の目的である、1)中南部都市圏で行われた商業型の跡地利用の実態を把握する、2)当該跡地利用によって地域社会がいかに変容したかを読み解く、等の諸点を明らかにし、基地跡地で行われる大規模な再開発における公共政策の課題を浮き彫りにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、7月に勤務先が変更になったために、当初計画の遂行が難しい状況が少なくなかった。このため、研究実施計画の順序を一部入れ替えて変更し、平成27年度以降の実施を予定していた内容を平成26年度に行うなどして調整した。 調査対象地での現地調査は深く行うことができた。特に、平成27年4月25日に、旧米軍施設アワセゴルフ場跡地を再開発してグランド・オープンしたイオンモール沖縄ライカムは、県内最大規模の商業空間を創出したが、その開発過程を検証する調査は充実したものとなった。この調査結果に基づいて指摘した、基地跡地利用に関わる公共政策、地域経済の問題点は、地元の放送局(琉球朝日放送)で取り上げられ、平成27年4月23、24日に、「基地跡地利用の課題」というテーマで2回シリーズで紹介された(放送日/放送内容:4月23日「大型商業施設の客足を呼び込め!イオンモール沖縄ライカム完成」、4月24日「跡地利用のシンボル・イオンモールの再開発」)。 旧米軍施設アワセゴルフ場の跡地利用に関する調査は、本研究が目的とする、「沖縄の持続可能な発展に結びつける地域再生の方途を明らかにする」上で検証が必要だと指摘した、「跡地の大手流通資本主導型の商業施設(モール)への転用」の実態を明らかにすることができた。 平成27年度は、前年度の課題を踏まえて着実に計画を遂行する。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に調査研究を深められなかった、1960から1970年代に行われた米軍基地跡地の再開発の調査を補いつつ、1980年代以降に現れ始めた大手流通資本主導による大規模な商業型開発の背景と変遷の調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度は、7月に勤務地が変更になっために、予定していた調査計画の実行が難しい状況が少なくなかった。このため、調査のために計上していた旅費を殆ど使用しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度以降は、平成26年度の課題を補うように充実した現地での調査研究を行うことを計画しており、これによる使用を予定している。
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