研究課題/領域番号 |
26512015
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研究機関 | 名桜大学 |
研究代表者 |
真喜屋 美樹 名桜大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40616380)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 公共政策 / 地域経済 / 内発的発展 / 沖縄 / 米軍基地跡地 / 再開発 / 大型商業施設 / 環境 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、那覇市と浦添市を主な対象地とした。那覇市おもろまち地区は通称那覇新都心と呼ばれ、基地返還後に県都那覇市の新しい中心市街地となった空間である。那覇市のベッドタウンとして発展してきた浦添市もまた、大規模な米軍基地(キャンプ・キンザー)を抱えるが、2015年に日米によって2025年以降の全面返還が決まった。 1980年代以降に沖縄県の人口と産業が集中する沖縄本島中南部都市圏で行われた基地跡地利用の特徴は、都市部に出現した広大な空間に、外部資本による大型商業施設を誘致する再開発の手法を取ったことである。その代表例が那覇市おもろまち地区の跡地利用である。沖縄県の試算によると、那覇市おもろまち地区の返還後の直接経済効果は、返還前の52億円から返還後は1634億円となり32倍に拡大した。 他方、返還が決まっている那覇市の北西に隣接する浦添市に所在する米軍基地(キャンプ・キンザー)は、那覇市おもろまち地区と同じ商業圏内にあり、返還後は大規模な商業型開発が行われることが計画されている。ヒアリング調査の結果、先のおもろまち地区の地権者達は、同じ商業圏内で同様の再開発が行われることによって、当該地区が空洞化する恐れがあると大きな不安を抱えていた。そのため、県全体の長期のマクロビジョンとしての米軍基地跡地利用計画が不在であるとして、県および地元自治体による計画的な公共政策の必要性を指摘する。 また、これから再開発が始まる浦添市でも、返還後の地域への効率的な経済波及効果を生み出すためには、どのような跡地利用計画が持続可能であるのかを模索していることが明らかとなった。那覇市、浦添市で行った今年度の調査から、都市部で行われる大規模な再開発計画における公共政策の困難さが浮き彫りとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は、所属大学に新設された学習支援施設であるライティングセンターの運営を担当することとなったため、同センターでの教育活動が中心となった。このため学期期間中は、同センターの組織づくりなどの運営業務に忙殺された。また、春期、夏期の大学が長期休業する期間は、同センターで活動するチューター育成を行わなければならず、調査等のためにまとまった時間を確保することが困難であった。その結果、予定していた実態調査や資料収集を十分に行うことが出来なかった。 他方、米軍基地に関するシンポジウムではコーディネーターを務め、研究成果の一部を紹介することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、これまでの遅れを取り戻す為に可能な限り業務と研究活動の調整を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に所属機関を移籍し、着任大学で新設された学習支援施設ライティングセンターの立ち上げを担当した。平成28年度は同センターの運営を任ぜられたため、大学で推進する初年次教育の中心メンバーとして携わらなければならなかった。このため、予定通りの計画推進が困難となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、補助事業を1年延長していただいたので、計画に沿った研究成果を出せるように務める。
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