沖縄県の人口と産業が集中する中南部都市圏に所在する、大規模な米軍基地の返還が予定されている。他方、返還後の基地跡地利用を円滑に進めるには、1)地権者の経済的不安、2)跡地利用計画の不在、3)沖縄県全体のマクロビジョンの中での跡地の位置づけ、4)国による財政支援の基本的枠組み、5)当該自治体の役割、6)地権者の合意形成の困難、など課題が山積する。 H29年度は、県都那覇市に隣接する浦添市で行われる大規模返還を見越した再開発を調査した。その結果、浦添市では、従来型の大型商業施設を中心とする再開発の手法を取りつつも、周辺の自然環境を保護するために全国初の海浜条例を制定するなど、市民力を活かした新しい手法がとられていた。また、返還される跡地のみならず、跡地を中心とする市の西部一帯を活性化する視点から将来ビジョンが描かれていることも、これまでの跡地利用モデルから更に発展した持続可能なまちづくりのモデルを構築しようとしていることが確認された。 その他、県内で行われた跡地利用に関する資料収集および海外の事例調査として、ハワイ州の海軍基地跡地であるBarbers Pointの再開発を調査し、当該地で行われた環境対策と市民参加の跡地利用の手法を検証した。
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