研究課題/領域番号 |
26512017
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
星子 美智子 久留米大学, 医学部, 准教授 (90557498)
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研究分担者 |
原 邦夫 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (40250047)
石竹 達也 久留米大学, 医学部, 教授 (60232295)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 公共政策 / 地区診断 / 健康影響予測評価 / 健康の社会的決定要因 / 健康格差 |
研究実績の概要 |
前半は、健康の社会的決定要因に着眼した「地区診断」をテーマに、保健所の保健師数名と定期的に地区診断勉強会を始めた。住環境(戸建て・賃貸・公共住宅)、ソーシャルキャピタル(自治会加入率、ボランティア活動への参加率)、経済状況(生活保護率)などの社会的要素、生活習慣病の罹患率、健診(検診)受診率等を指標に、46校区ごとのデータを収集した。平成29年には「S校区」と久留米市全校区の平均を比べた地区診断結果を市役所の管理職会議で報告、平成30年3月には全校区のデータを用いて保健所内での地区診断発表会を開催した。 後半は、地区診断のデータを基に事業を計画し、「HIA」の考えを組み入れた事業評価を事前に行うことを目指したがそこまでは至らなかった。自治体で地域診断を実施している、していない所へヒアリング調査をしたが、実施している所は、地区診断のフォーマットを作成している、他部署の計画や健康増進の計画にも地区診断の結果が反映され事業化している、(県型)保健所と検討する機会がある等が挙げられた。研究対象の久留米市では地区診断は実施したが、その結果を生かし事業化にすることはなかった。その原因としては、地区診断の結果が保健所の課内だけに留まり他部署に伝わっていない、保健師自身が地区診断を実施する意義を見出せていないことが考えられた。 健康の社会的決定要因に着眼した「地区診断」を保健行政以外で活用したり、「HIA」を用いた事業の事前評価を行ったり、健康を視点にした事業を実施するには、職員が地区診断への価値を見出すことが必要である。そのためには「健康(幸)都市」を目指すための職員教育、何より首長が健康を主軸においた市政を行うこと(Health in All Policies)が大きく影響してくる。地区診断を行う必要性を職員へ認識してもらった上で、初めてHIAを用いた事業評価が可能になる、と思う。
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