本研究では,先行研究の成果を踏まえ,生活活動や社会参加の支援機器の利活用と,今後の支援機器の開発戦略および科学技術導入のあり方を明確にすることを目的とし,近年の支援機器開発と方法論,高齢期かrあ終末期の者に対する支援機器の在り方に関するフィールド調査と国内・国際比較,継続性のある支援機器開発のための機器開発フレームの提案を行う. 本年度は,福祉用具を使用する後期高齢者へのヒアリング調査と,支援機器を開発・販売する業者へのアンケート調査を実施した.高齢者へのヒアリング調査は,デイサービスを利用する高齢者7名に対して実施した.調査の結果,主に脳血管疾患の後遺症をきっかけとして,同居家族やケアマネジャーの提案により福祉用具を使用し始めていること,複数の福祉用具を用途に応じて使用しており,現在は杖や歩行器を日常利用していることがわかった.福祉用具への満足度は高く,一方で一部に老人的超越の傾向が認められた.老人的超越の傾向が高いケースでは現状に満足をしているという主観評価が多く,支援ニーズが表面化されにくい傾向にあることも示唆された.また,これまでの福祉用具による支援が,必ずしも活動理論的な支援を求めているわけではなく,老年的超越を鑑み,日活動理論的でよりQOLを重視したコンパクトで穏やかな生活を支援するための機器の必要性が示唆された.アンケート調査「長寿社会における福祉用具・支援機器の将来像に関する調査」は,テクノエイド協会HPに公開されている企業へ送付し,新しい技術の導入検討について,現在の高齢者の福祉用具や支援機器にかかわる開発助成,普及促進計画,補助金,介護保険対象等についての意見,取り扱い商品と利用対象について,超高齢者(90歳以上)の支援機器について回答を依頼した.
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