研究課題/領域番号 |
26520103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大西 弘高 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90401314)
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研究分担者 |
尾藤 誠司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, その他 (60373437)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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キーワード | 臨床推論 / 意思決定 / 高齢者ケア |
研究実績の概要 |
高齢者のケア内容を決定する際の臨床推論に対する教育プログラムに,エビデンスに基づく医療(EBM)と共に,価値に基づく医療(VBP)を組み込むことが適切であると判明した.VBPには,当人中心性,多職種連携の考え方も組み込まれており,高齢者ケアに合致しやすい. 意思決定に向けた背景情報としては,高齢者総合評価,生活背景(家族環境,食事や運動),経済状況,意思決定者(患者側と医療・保健・福祉者側),意思決定のゴール,医療設定(在宅,診療所,病院)が挙げられる.また,これらに加え,患者側の3種類の気持ちとして,考え(ideas),懸念(concerns),期待(expectations)のICE,3種類のポジティブな価値として強さ(strengths),志(aspirations),リソース(resources)のStARが重要である.また,生だけでなく死を意思決定の議論に含める際には,事前指示(advanced care planning:ACP)の情報も必要となる. これらを,『問題同定過程』―①問題の同定,②情報収集と整理,③仮説設定,④仮説検証,『介入決定過程』―⑤問題の同定,⑥介入の目標と関係者の設定,⑦介入の選択肢や情報の提供,⑧介入の共同意思決定,『介入評価過程』―⑨介入,⑩介入のモニタリング,⑪介入成否の判断,⑫介入継続の意思決定の3カテゴリー,12項目に分け,あらゆる問題とそれに対する介入に関する意思決定が説明可能なことが示された. これらの内容を教育するために,事例を用いた教育の方法がプログラムとして作成され,来年度その実施,検証を行う予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢者のケア内容を決定する際の臨床推論モデルはほぼ決定された.これに基づいた教育プログラムを実施段階に移すことが2016年度の目標となる.予算執行については,主に人件費が執行されないままになっている部分があるが,そのことで研究進捗の妨げにはなっていない.
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今後の研究の推進方策 |
教育プログラムを2回実施予定とする.1回目はパイロット的な扱いであり,実施上の課題,改善点などを見出して,2回目の教育プログラムをよりよいものに仕上げていく.その際に,高齢者ケアを実際に提供している臨床家,医学教育関係者に声をかけ,3,4人で指導者チームを組んで実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
予算執行については研究協力者となる予定だった者が他施設で業務しつつ、週1回特任研究員として仕事をする予定で話が進んでいたが、実際には雇用関係の事務手続きに先方からストップがかかったため、人件費が余剰を生じる形となった。ただ、業務については予定通り行ってもらえたので、特に遅れは生じていない。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、新たなメンバーに声をかけて、人件費の執行を行うと共に、最終年度の業務を予定通り行っていく方向である。
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