研究課題/領域番号 |
26520104
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
牧野 公美子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10436967)
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研究分担者 |
倉田 貞美 浜松医科大学, 医学部, 講師 (20436976) [辞退]
白柳 聡美 浜松医科大学, 医学部, 教務補佐員 (40736823)
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研究期間 (年度) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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キーワード | 代理決定 / 家族 / 認知症高齢者 / 終末期医療 / 看護支援 |
研究実績の概要 |
1.日本における高齢者の終末期医療に関する代理決定の研究動向(文献研究) 医学中央雑誌web版を用いた検索では、キーワードを「意思決定」「家族」「終末期」「高齢者」とした結果144編、「代理決定」「終末期」「高齢者」とした結果14編、計153編(重複5編を除く)が抽出された。Google Scholarを用いて、「意思決定」「意思」「代理決定」「家族」「終末期」「高齢者」というキーワードで7組の組合せを作り検索した結果、新たに70編追加され、計223編が抽出された。研究者2名の審議によって基準不適合と評価された文献を除いた結果、最終的に28編が分析対象に残った。この28編を分析した結果、(1)発行年については、最初の文献は2000年、認知症高齢者に焦点を絞った文献は5編で、その発行年はすべて2010年以降であった。(2)終末期医療の家族による代理決定に伴う問題として、家族が高齢者の本人意思を代弁していない可能性があること、終末期医療の決定を余儀なくされた家族が心理的負担を負っていること、支援する過程で看護師が困難感やジレンマを抱えていることが明らかにされていた。研究成果は、平成27年度に学会発表することが確定している。海外発表の文献については、MEDLINEとCINAHLを用いて、「terminal」「decision making」「family」「aged」「Japan」というキーワードで検索した結果、24編が追加抽出され、研究者2名の審議を経て3編が分析対象に残った。現在、研究動向を分析中である。 2.遺族と看護師をペアで対象とした面接調査 研究倫理委員会の承認後、研究協力が得られた特別養護老人ホームを通じて代理決定した遺族と、その遺族の代理決定を支援した看護師のペア5組に対し、半構造化面接調査を実施した。現在、インタビュー内容を逐語録に起こしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献研究において海外文献の審議・分析がやや遅れているが、その他は計画通り研究が進行している。面接調査は当初の予定よりも早く進行している。
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今後の研究の推進方策 |
1.文献研究(平成27年度):海外文献については、最終的に分析対象として残った3編の分析を速やかに終了させ、国内外の文献の分析結果を統合し、学会誌に投稿する。 2.遺族と看護師をペアで対象とした面接調査(平成27~28年度):特別養護老人ホームとそこで認知症高齢者を看取った調査対象者への協力依頼を継続しながら、遺族・看護師双方の同意が得られたペアに対して面接調査を順次実施する。面接の順序は、遺族に対して看護師が支援した内容に対する受けとめ・評価をインタビューするため、最初に看護師、次に遺族とする。最終的には、ペア15組に対して面接する予定である。 3.遺族を対象とした質問紙調査(平成28~29年度):特別養護老人ホームで認知症高齢者を看取った遺族を対象とした質問紙調査を実施する。質問紙は、2の面接調査の結果と国内外の文献を参考にしながら完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、認知症高齢者の終末期看護に関心がある特別養護老人ホームを複数箇所選定し、施設への協力依頼を同時期に行うことにしていた。しかし、本研究の課題が特別養護老人ホームにとってはセンシティブなもので、施設への協力依頼は各施設の事情に応じて個別に行うことが必要であった。そのため、当初の計画を変更し、1施設ごとに協力の承諾を得て、その施設から紹介された遺族・看護師への面接調査を順次実施することにした。以上のような理由から、平成26年度に執行予定であった対象施設・調査対象者への協力依頼のための通信費や交通費などの研究費の繰り越しが必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越した研究費は、当初の予定通り、対象施設・調査対象者への協力依頼のための通信費や、面接調査実施に係る交通費・謝金などに充てる。
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