少子高齢化が進む現状において、世代間の正義にかなった法制度のあり方について基盤的な考察を行った。研究代表者の吉良は法哲学的見地から、いわゆる「シルバー民主主義」的状況における世代間の協働可能性について、分配的正義論の基礎としての福利(well-being)のあり方や、将来世代まで含めた共同体意識のあり方を中心に考察を進めた。また、その具体的な法制度的含意を明確にするため、研究分担者の寺田が特に欧州諸国の年金改革などを参照しながら比較行政法的考察を、研究協力者の中村がドイツの移民問題を参考にグローバル生存権の可能性を、同じく戸田が脳神経科学からの世代間道徳意識の考察を行った。
|